玻璃の器 注釈 |
|
あ か さ た な は ま や ら わ | |
あ | |
あげ劣り(あげおとり) |
→あげまさり |
総角(あげまき) | 幼年期の男の子の髪型。髪を真ん中で分け、耳元で輪を作ってこよりなどで縛る結い方。毛先は下へたらさない。 |
あげ勝り(あげまさり) | 元服して角髪をやめ髻を結った時に、元服前の姿よりも素晴らしく勝って見えること。反対に痩せて見劣りすることをあげ劣りという。 |
衵(あこめ) | 表衣と単衣(ひとえ)の間に着る。出衣(いだしきぬ)といって表衣の裾から少しだけ出して色を見せたりもする。 |
衣架(いか) | 衣を掛けておくための家具。正月には夫婦の新しい衣を掛けたり、室内の装飾のようにも使われた。 |
五十日の祝い(いかのいわい) | →うぶやしない |
衣冠(いかん) | 内裏(だいり)へ参内する際に、四位以下の者が身につけた装束。宿装束とも呼ばれ、本来は宿直の際に着用されたが、後に平常の参内着となった。冠、袍(ほう)、指貫(さしぬき)などで構成。袍は官位によって色が決まっている。 |
出衣(いだしぎぬ) | 牛車(ぎっしゃ)や御簾(みす)の隙間、衣服の裾から色のついた衣を見せて、華やかにすること。 |
袿(うちき) | 女性が単衣(ひとえ)と表着の間に着る着物。この重ねの色や数でお洒落や寒暖の調節をした。『袿姿』は裳(も)唐衣(からぎぬ)をつけない貴族の普段着。 |
産養い(うぶやしない) | 子供が生まれた三、五、七、九日めに行う祝いの宴。この後、五十日目に五十日(いか)の祝いをする。 |
繧繝縁(うんげんべり) | 繧繝は文様の一つで、座る時に敷く畳の縁に用いる。繧繝縁を使った畳を敷けるのは帝、上皇など高位の人間に限られる。 |
老懸(おいかけ) | 武官束帯(そくたい)の時に冠の左右につける、扇の骨状の飾り。 |
大内(おおうち) | 大内裏(だいだいり)を表す口語。 |
大君姿(おおきみすがた) | 親王(しんのう)の着る装束。直衣(のうし)、下襲(したがさね、後ろに裾を長く引きずる着物)、指貫(さしぬき)に太刀を佩く。 |
主上(おかみ) | 今の帝のこと。今上(きんじょう)ともいう。 |
瘧(おこり) | マラリヤのような病状で、周期的に熱や震えを発する病気。 |
折敷(おしき) | 四辺に縁のある食器をのせるための盆。脚のついているものは脚打折敷、角を落としたものは角切折敷という。材質は紫檀、沈、杉など。絵の描いてあるものや漆塗りのものなど、種類が多かった。 |
愛宕(おたぎ) | 平安時代の葬送地のひとつ。山城国愛宕郡。 |
御引直衣(おひきのうし) | 帝、上皇の日常着。普通の直衣(のうし)よりも裾が引きずるほど長い。 |
陰陽寮(おんようりょう) | 中務省に属し陰陽道を司る役所。風雲・天文・暦数・時刻を判断し、管理する。 |
か | |
懸盤(かけばん) | 黒漆塗りで上面は朱塗りの、食器を乗せる膳。 |
汗衫(かざみ) | 貴族の女児の正装。 |
方違え(かたたがえ) | 陰陽道で中神(天一神)が守ると言われる悪い方角に向かって事をなすのを避け、別の方角の家に泊まってから目的地へ行くこと。 |
髢(かもじ) | 現代のつけ毛のこと。 |
唐衣(からぎぬ) | 女性の正装時に袿(うちき)の上に着る丈の短い衣。 |
唐櫃(からびつ) | 脚のついた方形で蓋つきの箱。螺鈿や蒔絵の装飾がしてあり、衣装や雑具などいろんなものを収めた。 |
迦陵頻(かりょうびん) | 童舞の一つ。鳥の舞ともいう。鳥を模した装束を付け、銅拍子を手に、桜の花を冠に挿して四人で舞う。左方唐楽の壱越調の曲。 |
蝙蝠(かわほり) | 夏に檜扇の代わりに持つ、竹の骨組みに紙を貼付けた扇。形がコウモリに似ている所からこの名前がある。 |
上達部(かんだちめ) | →くぎょう |
階(きざはし) | 庭から寝殿(しんでん)をつなぐ五段の階段。 |
北の方(きたのかた) | 公卿(くぎょう)または身分の高い者の妻のこと。屋敷でも北の対屋(たいのや)に住んでいたと言われるのでこう呼ぶ。ただし本来は主人や子供と共に寝殿(しんでん)に住んでいたという説もある。 |
北の口(きたのくち) | 母屋(もや)の北側にある廂(ひさし)に出るための妻戸(つまど)に似た扉。 |
北の政所(きたのまんどころ) | 摂関、大臣の正室(せいしつ)。内政を執るため夫が大臣に任命されると正室(せいしつ)も北の政所の宣旨を受けた。 |
几帳(きちょう) | 部屋の調度品のひとつ。パーティションのようなもの。貴族の姫は夫以外の男性には父兄弟にも顔を見せてはいけなかったため、几帳を挟んで対面した。 |
牛車(ぎっしゃ) | 牛に引かせる車で、移動手段によく使われた。網代車や糸毛車など、用途や身分に合わせて種類も多い。 |
後朝(きぬぎぬ) |
後朝の歌のこと。男女が初めて契りを交わした次の日の朝に、家へ戻ってから文で交わす歌。届くのが早ければ早いほど愛情も強いとされた。 |
砧(きぬた) | 絹を砧という木槌で打つと光沢が出るため、砧で打った絹はただの絹よりも高価だった。 |
君をのみ思ひねに寝し(きみをのみ…) | 古今和歌集「君をのみ 思ひねに寝し 夢なれば 我が心から 見つるなりけり」(凡河内躬恒)あなただけを思いながら眠った時の夢なのだから、それは私の心より生み出して見た夢だったのですという恋歌。 |
脇息(きょうそく) | 部屋の調度品のひとつ。体をもたれかけさせる肘置き。 |
清姫(きよひめ) | 安珍清姫(あんちんきよひめ)のこと。和歌山県道成寺に伝わる伝説。929年、一目惚れをした僧の安珍が約束を違えたと知ると、清姫は大蛇となって追いかけ、道成寺の鐘に隠れた安珍を焼き殺したという物語。絵巻物の成立は11世紀。 |
桐壺(きりつぼ) | 内裏(だいり)の家屋の名前で、桐壺に住む帝の妻は本名ではなく桐壺と呼ばれる。帝が住まう清涼殿に近い順に、妻の実家の権力も高い。淑景舎(しげいさ)ともいう。 |
公卿(くぎょう) | 官位三位以上の朝官、大臣、大納言、中納言、参議のこと。上達部(かんだちめ)ともいう。 |
櫛稲田(くしいなだ) | 櫛稲田姫尊(くしいなだひめのみこと)。素戔嗚尊(すさのおのみこと)の妃神。素戔嗚尊は天界を追放された後、出雲で八岐大蛇を退治して櫛稲田姫尊を救った。奇稲田姫・櫛名田比売(くしなだひめ)ともいう。 |
櫛笥(くしげ) | 櫛を入れておく箱。 |
山梔子(くちなし) | 山梔子と「口無し」をかけて、無口な宣耀殿(濃姫)を皮肉った呼び方。 |
車宿り(くるまやどり) | 牛車(ぎっしゃ)を置いておく車庫。 |
家司(けいし) | 親王(しんのう)、内親王(ないしんのう)、公卿(くぎょう)の家で家政を行う職。 |
袿心(けいしん) | 餅粉に肉袿を混ぜて宝冠の形に整え、油で揚げたお菓子。 |
兼宣旨(けんせんじ) | 大臣に任命される何日か前に宣旨を受けること。 |
元服(げんぷく) | 男子の成人式。十一歳から十四歳に行われることが多い。それまでの角髪(みずら)や総角(あげまき)を髻(もとどり)に結い上げ、冠をかぶせる儀式。 |
更衣(こうい) | 帝の妻。女御より位が低い。 |
香壺箱(こうごのはこ) | 香壺を入れておくための箱。 |
格子(こうし) | 廂(ひさし)の柱と柱の間にある建具で、一枚格子と二枚格子があり、一枚格子は水平に上げると、そして二枚格子は上下開くと通行が可能になる。 |
講師(こうじ) | 歌合わせや詩合わせの際に、詩歌を読み上げる者。 |
庚申(こうしん) | 干支の庚申の夜に寝ると、腹中に住む三匹の尸虫が災いして命を短くするという道教の教えにより、それを避けるために管弦の遊びなどをして一晩中寝ずに過ごした。 |
高野(こうや) | 高野山。空海が開いた真言密教の総本山がある聖地。狐は真言密教とは無関係だが稲荷信仰で神の使いとされる他、狸と並んで人を化かすと言われているので、ここでは高野山の修験者たちを狐に例えている。 |
高麗縁(こうらいべり) | 文様の一つで、座る時に敷く畳の縁に用いる。高麗縁を使った畳を敷けるのは親王(しんのう)、大臣などに限られる。 |
小狩衣(こかりぎぬ) | 男児の装束。半尻(はんじり)ともいわれる。東宮(とうぐう)、親王(しんのう)、摂政など特に身分の高い者の男児が着用する。 |
弘徽殿(こきでん) | 内裏(だいり)の家屋の名前で、弘徽殿に住む帝の妻は本名ではなく弘徽殿と呼ばれる。帝が住まう清涼殿に近い順に、妻の実家の権力も高い。 |
小君(こぎみ) | 貴族の子供を指して言う愛称。 |
小除目(こじもく) | 春秋以外に行われる臨時の小規模の除目(じもく)。 |
小舎人(こどねり) | →とねり |
さ | |
催馬楽(さいばら) | 古来の歌謡を唐楽の拍子などに合わせて雅楽調に編曲したもの。くだけた私宴で歌われることが多かった。 |
索餅(さくべい) | 小麦粉と米粉を水で練り、縄のようにねじって作った唐菓子。七夕の節句で瘧(おこり)よけに供えられた。 |
桜直衣(さくらのうし) | 裏が二藍の紅の強いもので、表の白地に透けて桜色に見える直衣。冬、華やかな席などに若年者が着るものだった。 |
指貫(さしぬき) | 男性の袴でゆったりとした作りの物。直衣(のうし)や衣冠(いかん)、狩衣(かりぎぬ)で履かれる。 |
佐保(さほ) | 春の女神、佐保姫のこと。奈良の都の東に佐保山があり、五行説で方角に四季を重ねると東が春に当たることから。秋を司る姫は竜田姫という。 |
参内(さんだい) | 出仕して宮中へ行くこと。殿上へ上がるには従五位以上の位が必要だった。 |
榻(しじ) | 牛車(ぎっしゃ)に乗降する時に使う踏み台。 |
茵(しとね) | 座る時に敷く高級な方形の敷物。 |
除目(じもく) | 帝から大臣以外の官吏の辞令を賜ること。春と秋の二回行われ、春は京外官、秋は宮中の官吏を任命する。 |
笏(しゃく) | 束帯(そくたい)の時に手に持つ、木や象牙で作られた細長い板。 |
射礼(じゃらい) | 正月十七日に建礼門前で大的を射る宮中行事。翌十八日には賭弓(のりゆみ)といわれる賭物を出して左右方に分かれて弓を競い、勝った方が賭物を賜る競技が行われた。 |
入内(じゅだい) | 帝の所へ正式に嫁入りすること。 |
寝殿(しんでん) | 屋敷の中でも正殿の部分。主人が生活する建物。 |
新任大饗(しんにんだいきょう) | →だいじんだいきょう |
親王(しんのう) | 帝の皇子。親王宣下された皇子のみが親王と呼ばれる。皇女で宣下を受けた者は内親王(ないしんのう)と呼ばれる。 |
水干(すいかん) | 男性の普段着。狩衣(かりぎぬ)よりも丈が短く動きやすい。童水干(わらわすいかん)は男児の普段着。 |
随身(ずいじん) | 勅(帝の命令)により上皇、参議、大〜少将の護衛としてつけられる武官。 |
双六(すごろく) | 盤と白黒の駒を使って、賽を振り、相手の陣地に自分の駒を送り終えた方が勝ちとする遊び。 |
簀子(すのこ) | 室内の一番外側にあたる空間。接客の場でもあった。 |
州浜(すはま) | 州浜台のこと。木や川、鳥の作り物をあしらい、宴会の飾り物にしたり、婚礼や正月料理の盛りに使用した。 |
炭櫃(すびつ) | 方形で足のある暖房器具で、中に灰を入れた金属製のおとしを入れて、その中で炭を燃やして暖める。 |
青海波(せいがいは) | 寄せ返す波を模した舞の一つ。成人男子が二人で舞う。文様にも同じ名前がある。源氏物語の紅葉賀の巻で光源氏と頭中将が二人で舞った話が有名。 |
正室(せいしつ) | 正妻のこと。一番の妻。 |
践祚の儀(せんそのぎ) | 先帝より帝の位を受け継ぎ、三種の神器(八咫鏡・八尺瓊勾玉・天叢雲剣)を受け渡される儀式。平安時代では即位の儀は践祚の儀の後に行われる。即位の儀は紫宸殿で諸司百官が参列し、宣命使が詔を読み上げ天下に皇位継承を知らしめる儀式。 |
添臥し(そいぶし) | |
葱花輦(そうかれん) | 略式の晴儀(行幸など)の際に、帝や東宮(とうぐう)が用いる輿。屋根に金色の葱の花の飾りがあったのでこう呼ぶ。 |
僧都(そうず) | 僧綱(そうごう 全国の尼僧を統轄する役所)で僧正に次ぐ位。 |
即位の儀(そくいのぎ) | →せんそのぎ |
束帯(そくたい) | 参内時の正式な装束。冠、袍(ほう)、表袴などで構成。手には笏(しゃく)を持ち、昼の装束とも呼ばれた。官位によって色が決まっている。 |
このページのトップへ | |
た | |
太皇太后(たいこうたいごう) | 天皇の祖母で后の位に昇った者。大宮ともいう。 |
大臣大饗(だいじんだいきょう) | 正月に摂政大臣が自邸で饗宴を催すこと。大臣に着任した後に行うのを新任大饗(しんにんだいきょう)という。 |
大内裏(だいだいり) | 官庁や役所があった所。内裏もこの中にある。ただしこれは後世の呼び方で、平安時代には大内と呼ばれていた。 |
対屋(たいのや) | 屋敷の中で寝殿(しんでん)以外の建物。方角で呼ぶ。北の対屋には正妻(北の方)が住んでいる。他に東の対、西の対などがある。 |
内裏(だいり) | 帝一家が住う皇居。官庁や役所があった所は大内(おおうち)と呼び、内裏もこの中にある。 |
高杯(たかつき) | 食べ物を盛るための台。 |
団喜(だんぎ) | 菓子の一つ。米粉の団子に甘葛(あまづら)を塗った物。 |
乳兄弟(ちきょうだい) | 乳母(めのと)の子供。 |
中宮(ちゅうぐう) | 帝の妻の中でも一番位の高い女性。皇后と同位。 |
町(ちょう) | 条里制では一町109m四方。馨君の住む三条邸のモデルとなった東三条殿は二町、晩年の光源氏が住む六条院は四町、大内裏(だいだいり)は南北十町(約一・四キロ)東西八町(約一・二キロ)。三十二分の一町が庶民の民家の基準。 |
調子笛(ちょうしぶえ) | 調弦や調律に使う小さな笛。 |
重陽節(ちょうようのせち) | 九月九日に邪気を払い長寿を願って、菊酒を飲んだり菊の着せ綿という風習を行う。 |
築地(ついじ) | 敷地の外側に張り巡らせる土塀。上に瓦を乗せる場合もある。 |
追儺(ついな) | 大晦日に行われる、新年を迎えるために鬼を払う行事。鬼やらいとも呼ばれる。 |
土御門邸(つちみかどてい) | 一条天皇の頃には里内裏(諸事情で内裏(だいり)として使われた帝の妃の実家)ともなった藤原道長の邸。別名、京極殿。 |
筒井筒(つついづつ) | 幼なじみ。伊勢物語二十三段、大和物語などに出てくる幼なじみの男女が結婚する物語による。 |
角盥(つのだらい) | 取っ手のついた直径四十センチ程度のたらい。一般的に使われた。 |
局(つぼね) | 貴人に仕える女性の部屋。廂(ひさし)に作られ、房とも言う。 |
妻戸(つまど) | 外開きの扉で、内側に鍵がついている。東西に作られ、廂(ひさし)と簀子(すのこ)の間に設けられる。 |
手(て) | 筆蹟。この頃は文字の上手い下手で、性格や性別、年齢まで判別されるため重視されていた。代筆や代歌も多かった。 |
殿上童(てんじょうわらわ) | 公卿(くぎょう)の子で、作法見習いのために大内裏(だいだいり)へ出仕する少年のこと。 |
東宮(とうぐう) | 次の帝になる人。皇太子のこと。春宮(はるのみや)ともいう。 |
桃枝(とうし) | 米粉を練って茹で、桃の枝の形にしてから油で揚げたお菓子。 |
灯台(とうだい) | 室内で使う照明具。 |
常世(とこよ) | 海のかなたにあると信じられた不老不死の異郷のこと。死者の行く黄泉の国とも言われる。 |
舎人(とねり) | 貴族や皇族に使え、護衛や雑事、宿直を行った下級官人。小舎人(こどねり)は内裏(だいり)の雑事を行う蔵人所の役人。 |
鳥辺山(とりべやま) | 平安時代の葬送地のひとつ、鳥辺野のこと。現在の京都市東山区にある。 |
な | |
内親王(ないしんのう) | →しんのう |
梨壺(なしつぼ) | 内裏の中での東宮の在所。南面の庭に梨の木を植えてあったので梨壺という。 |
二階厨子(にかいずし) | 元は食器などを置く棚で、母屋(もや)でも使われるようになった。下段には開き戸がついている。 |
女御(にょうご) | 帝の妻の中でも位が高い。更衣(こうい)と中宮(ちゅうぐう)の間。父親や後見の権力が強い(大臣や宮家出身の)娘でないとなれない。 |
女房(にょうぼう) | 宮中や貴族の屋敷で働いていた女性の召し使い。当時の最先端の職業婦人。妻の意味ではない。 |
塗籠(ぬりごめ) | 母屋(もや)の東西どちらかに設けられる閉鎖的空間。寝室や物置に使われた。 |
直衣(のうし) | 貴族の男性の平常着。公卿(くぎょう)で勅許をもらった者は、内裏(だいり)にも冠直衣と呼ばれる冠と直衣を着けた姿で参内できた。家では色の決まりはないが、内裏(だいり)では夏は二藍、冬は白と決まっていた。 |
賭弓(のりゆみ) | →じゃらい |
は | |
袴着(はかまぎ) | 三歳から七歳頃、童子が初めて袴をつける儀式。貴族や宮家の子供は主に三歳頃に行われた。 |
萩戸(はぎのと) | 夜御殿の北側にある帝の居間。 |
帚木(ははきぎ) | 新古今和歌集の「園原や 伏せ屋に生ふる 帚木の ありとは見えて 逢はぬ君かな」を踏まえて、園原(長野県にある地名)の伏せ屋に生えているという帚木(遠くからはあるように見えるが、近づくと消えるという伝説の木)のように見えているのに会えない恋人を例えたもの。 |
春宮(はるのみや) | →とうぐう |
番匠(ばんじょう) | 建築現場の統括責任者。 |
半尻(はんじり) | →こかりぎぬ |
火桶(ひおけ) | 炭を燃やして暖を取る、室内で使う暖房器具。 |
檜垣(ひがき) | 檜の板を斜めに編んで作った庶民の家の垣根。 |
提子(ひさげ) | 杯に酒などをつぐための容器。注ぎ口とつるがついている。 |
廂(ひさし) | 部屋と簀子(すのこ)の間にある。女房(にょうぼう)の部屋(局(つぼね))や、また宴などで上客が座する場所でもあった。 |
単衣(ひとえ) | 肌着。貴族の子供は、袴着までは袴を着ずに単衣のみを着用する。 |
氷室(ひむろ) | 冬の間にできた氷を山影や地中に穴を開けて保存しておく所。夏に氷を取り出して削り、甘葛(あまづら)の蜜をかけて食べる削り氷(けずりひ)は貴族のご馳走だった。 |
昼の御座(ひるのおまし) | 清涼殿、帝が日中、政務を聞く場所。 |
深緋の袍(ふかいひのほう) | 束帯(そくたい)の袍(ほう)の色は位階によって定められていて、元は五位=浅緋だったが、一条天皇以後は深緋色になった。同じ頃、四位以上は黒だった。 |
藤壺(ふじつぼ) | 内裏(だいり)の家屋の名前。藤壺に住む帝の妻は、本名ではなく藤壺と呼ばれる。帝が住まう清涼殿に近い順に、妻の実家の権力も高い。飛香舎(ひぎょうしゃ)ともいう。 |
衾(ふすま) | 寝る時に上にかける夜具。長方形の衾と、襟と袖のついた着物形の直垂衾(ひたたれふすま)がある。 |
懐紙(ふところがみ) | 懐に入れた紙で、歌を書きつけたり鼻紙としても使った。 |
瓶子(へいし) | 酒の入れ物。持ち運びもできる。 |
脯(ほしじ) | 肉を干したもの。 |
細長(ほそなが) | 女性の装束の一つで、袿(うちき)よりも身幅が細い。女児の着る細長は袍(ほう)を簡略化したもの。 |
ま | |
三日夜(みかよ) | 三日夜の餅。結婚する時、三日続けて男性は女性の家へ通い、三日目に小餅を噛まずに飲むという習慣があった。 |
御匣殿(みくしげどの) | 内裏(だいり)や貴族の邸宅で、衣装を整える所。内裏(だいり)の御匣殿の長官は帝の妃になることもあった。 |
御簾(みす) | 部屋と部屋、また廂(ひさし)との間を分けるためのすだれ。上げたり下げたりできる。 |
角髪(みずら) | 幼年期の男の子の髪型。髪を真ん中で分け、左右耳元で輪を作ってひもで結び、毛先をたらす。 |
御帳台(みちょうだい) | 母屋(もや)に設けられた貴人が座臥するための室礼。 |
乳母(めのと) | 貴族の子供に母親の代わりに乳を飲ませる女性。子供を産んだばかりの女性が勤めるため、乳母の子供は貴族の乳兄弟(ちきょうだい)となる。 |
女童(めのわらわ) | 女房(にょうぼう)になる前に貴族の屋敷や宮中に勤める成人前の女の子。ただ女の子という意味もある。 |
裳(も) | 女性の正装時に腰から下、後ろ側を覆うスカート上の布。貴族に使える女房、高い身分の人の前に出る時には必ず着用する。 |
裳着(もぎ) | 女子の成人式。十二歳から十四歳ぐらいで、配偶者が決まった時点で行われることが多い。 |
物忌み(ものいみ) | 陰陽道で、方違え(かたたがえ)や凶兆、死穢に触れた時などに家に籠って身を浄めること。宴を欠席する時などの口実に使われることもあった。宮中で帝が物忌みになると、臣下も共に六日間籠った。 |
桃園(ももぞの) | 桃園の宮。一条大路より北、大宮大路より西に位置し、貴族の邸宅が多く構えられた。 |
母屋(もや) | 寝殿(しんでん)や対屋(たいのや)の中心部分。 |
や | |
八重葎(やえむぐら) | ここでは雑草が生い茂っている様子。源融所有の塩竃の浦を模した庭園を持つ河原院が、後に荒廃して荒れ邸となったことを嘆いた歌「八重葎 茂れる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」(恵慶法師)を踏まえている。 |
遣水(やりみず) | 庭に作った泉から寝殿(しんでん)のそばまで流す川のような水の流れ。泉がなければ川から導水路を引く。夜は篝火(かがりび)をともして風情を楽しむ。 |
夢にさへ(ゆめにさえ) | 古今和歌集「うつつには さもこそあらめ 夢にさへ 人目をもると 見るがわびしさ」(小野小町)現実では仕方ないとしても、夢ですら人目をはばかって姿を見せてくれないなんて寂しいことです、という意味の恋歌。 |
四つ白(よつしろ) | 首上、右と左の袖の裾、欄が薄く透けて白い、センスがいいといわれる直衣(のうし)。 |
憑坐(よりまし) | 修験者や巫女が、物の怪を取り憑かせて調伏する際の媒体。婦人、子供や人形が使われた。 |
ら | |
料紙(りょうし) | 写経や手紙を書くための紙。 |
わ | |
渡殿(わたどの) | 対屋(たいのや)と対屋(たいのや)をつなぐ渡り廊下。 |
童水干(わらわすいかん) | →すいかん |
童直衣(わらわのうし) | 大人の直衣(のうし)と同じ形状で、冠はかぶらない装束。東宮(とうぐう)、親王(しんのう)、摂政など特に身分の高い者の男児が、儀式の際に着用する。歌会や雅楽の宴の際にも着用された。 |
円座(わろうだ) | い草などを円形に編んで作った敷物。座布団の代わりに敷く。 |