エピソード

「オールディーズGP」発表から2年…
自身のレトロアーケードへの熱い想いが、より強固なものへと変わり、業界をも動かさせていった…



 初代「オールディーズGP」発表から約2年。当時の自分は、それだけで満足のいく作品になったものと思っていました。

 しかし、時がたつにつれ、果たしてこれで満足のいく作品になったのだろうか、そう自分に問い詰めると、出した答えは「ノー」でした。

 「もっとレトロを実感できる作品を作りたい」
 「もっとゲームらしいゲームを追求し、今一度、みんながビデオゲームの原点を見つめなおしてくれる機会を作りたい」―――

 ―――そんな思いとともに、このゲームの開発は始まりました。

 嘗てのレースゲームにあった要素として、前作に無かった「救急車」を始め、ハイレゾVGAを有効活用し、ゲーム画面をより本物のアーケード筐体らしく仕上げるなど、レトロアーケードの何たるかをさらに追求しながら、2005年3月に完成、発表となりました。

 このゲームは、結果、前作をはるかに超える大ヒットとなり、HSPコンテストで「パッケージングNo.1」という評価をはじめ、ネット上でも「未来のモナコGP」と賞賛されるなど、確実に人々の心を「ガッチリと」掴んでいきました。

 やがて、業界でも70〜90年代のレトロゲームがクローズアップされるようになり、数多くのメーカーからレトロゲームのリメイク作品が発表されるなど、レトロゲームによる一大ムーブメントがは巻き起こることになりました。
 
 そのとき、自身は思いました。

 「もしもこのゲームを発表していなかったら、今の時代、ゲームはもっと違っていた方向に歩んでいたかもしれない。決して僕の影響によるものじゃなかったにしろ、僕のこの想いは、何らかを通じて、業界に届いてくれたのだろう…」と。