| SNOW! SNOW! SNOW! |
| 「う
わー寒っい!」 「当たり前だ、こんな雪の降る日に池から出てくるのだ? ぼくが偶々迎賓棟にクマハチを見に来たから良かったもの」 ヴォルフラムは自分の外套を脱いで、薄着の濡れた身体のユーリにかけてやる。 「仕方ないだろう、自分の意思で来てるわけじゃないんだから、急にだよ急に」 「ユーリはこの国の王なのだからここにずっといればいい」 「そうだけど…さ」 「風邪を引く、早く城に…」 ユーリの落とした肩に手をかけると、思い出したようにユーリが顔を上げた。 「ちょっとまって、クマハチは? 出産…いや、産卵には立ち会えなかったけど元気かどうか気になって」 「ぼくも雪が降って寒くないか気になって見に来たんだ」 「ヴォルフも?」 「当たり前だろう? ぼくたちの子供だ」 同じことを考えていたことに二人で顔を見合わせて笑い出す。 「じゃあ、見に行こう、一緒に」 建物の中に入ると外気よりは温かいが暖のない室内は寒いことに変わりない。 この寒い中で親と卵は大丈夫だろうか。 床に開けられた穴から下を二人で覗き込んだ。 「大丈夫かな?」 暗い穴の下にはちゃんと温かそうな布や草が敷き詰められ、二匹のクマハチがよりそっていくつかの卵を抱えていた。 「幸せ…そうだな」 「うん、よかった。……ハックッション!」 慌ててユーリは口を押さえたが、産卵を終え冬眠に入ったクマハチは起きる気配がない。 「ユーリ、風邪を引く、あっちに暖炉があったはずだ」 小声で奥の部屋にユーリを促した。 「やっぱ、寒いな。積もってきた」 ヴォルフラムの外套を握り締めながら、外をみると木の枝には重そうな雪ぼうしがのっている。 「今、火をつける」 何かつぶやくと、ヴォルフラムの手にぼんやり明かりがともり、暖炉の小さな枝がぱちぱちと音を立てて燃え始めた。 「魔力って便利だな、うらやましいよ」 「何を言う、魔王であるユーリの方がぼくの何倍も強力な魔力を持っているのだから、これくらい雑作ないことだろう。寒くないか?」 ユーリの隣に座り込むと身体を寄せる。 「らしいんだけど、記憶のないときにコントロールも出来ないんじゃ使えないよ。もっと上手く出来ればなぁ」 「ユーリは、火をつけるのが上手いじゃないか、ぼくのココに」 ヴォルフラムは自分の胸をトントンと指差して示す。 「な、なに言ってるんだよ、上手いとかそういうんじゃなくて…」 赤くなって外套の襟を立てるユーリの顔を覗き込む。 「でもいっつも、嫉妬の炎で焦げ付きそうだ……」 「勝手に誤解してるだけだろう…?」 「ユーリは誰にでも優しすぎる、自覚が足りない」 「そんなこと言われたって、ずっと無表情で怒ってるわけに行かないだろうし」 「当たり前だ、そんなユーリならぼくは好きにならなかった」 そっと、ユーリの冷たい、でも血の通い始めた頬にキスする。 「うん…そうかな」 降り積もった雪に、外の音が吸い込まれて、火の燃えるかすかな音と二人の呼吸だけが聞こえる。 「ぼくはユーリのココに火をつけるのも得意だが」 「わわわっ! こんなトコでドコ触ってんだよ! あ……ッ」 凍えるくらい寒い夜には、二人で温かくなれるから。 雪が降り積もっても大丈夫。 終わり
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