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「ウェラー卿コンラート、血盟城警護及び陛下警護の任を解く」
薄暗い執務室に、グウェンダルの声が響いていた。
その前に立つ、男がゆっくりと頭を垂れた。
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ひと月前は――― 月も隠れた、魔王陛下の瞳のような、漆黒の夜だった。
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「……そうして毒女アニシナは、新しい魔動装置を、……彼女の下僕に…、」
寝台の上で本を読み聞かせているユーリの声がだんだんと小さくなる。
「寝た?」
かわいい娘の顔を覗き込む。
「寝ましたか?」
俺も部屋の隅で広げていた本を閉じて、立ち上がる。
「かわいい〜よな、やっぱさ」
桃色の頬を人差し指で撫でながら、目を細める。
そうやってるユーリもかわいいんですけどね。
人間である、グレタが大きくなるのもあっという間だろう。
すぐに魔族であるユーリを追い越して……そう思うと血の繋がらないこの親子の時間を大切にしてやりたいと思う。
「おやすみ…グレタ」
そっと、頭を撫でると、ぐっすり眠ってるのを確認して、小さな体を抱き上げた。
「コンラッド、グレタが起きちゃうだろ?」
「部屋に運んで来ますよ」
ユーリにあわせて、グレタを起こさぬようにささやき声になる。
「せっかく気持ちよさそうに寝てるんだから寝かせてていいよ」
「せっかく、ヴォルフラムが明日まで帰らないのに?」
見る見る赤くなるユーリの額に口付けて、グレタを彼女の部屋まで運んでいく。
すでにヴォルフラムがユーリと寝床をともにすることはないが、ヴォルフラムが血盟城に滞在中に俺がユーリの部屋に行くのをよしとしない。
ユーリなりに気を使っているのだと思う。
成り行きとはいえ、ヴォルフラムと「婚約」していたのだから。
本当に気負わなくてはならないのは俺かもしれない。
ヴォルフラムがユーリのことを本気で好きになっていたのはわかっていた。
けれど、最愛の弟にも譲れないくらい、俺はユーリのことを。
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