兄×妹前提でブレダ・ハボ×アルてな話。設定は「知らぬが仏」などなどを引き継いでおりますが他の話とは繋がりません。 最後で切ない系に転じるので要注意でございます。

「はっ…早く、はやく…」
アルは強ばった表情で司令部の階段を駆け上がっていた。
今日は月一回の、兄のエドワードの報告書提出日だ。いつもの様に兄がマスタングに報告書を手渡す傍ら、ホークアイの抽れた紅茶を飲みながら大人しく待っていたアルだったが、マスタングが中座し、兄と自分を待たせている間にアルは尿意を催してしまった。
「に…兄さん、ボク、ちょっとお手洗いに行って来るね」
「おう。早く戻れよ」
そう声を掛けるエドワードの言葉もそこそこに、アルは早足でその場所を目指したのはちょっとした訳があったのだった。
アルは元々エドワードの弟としてこの世に生を受けた。10才まではれっきとした男だったが、死んだ母親の人体錬成と言う禁忌を犯した事により、その肉体全てを失う事となった。だが、エドワードによりからくもその魂はこの世に留まる事が出来たのだ。
しかし、鋼鉄の鎧に定着された魂は肉体の得うる感覚の殆ど全てを失った。その事実がエドワードの心を僅かずつ、侵食していく。次第に弟の肉体を得る事のみに執着するようになった彼は、とうとうクローニングの技術を利用する事により、弟の遺伝子を受け継いだ肉の器を生み出す事に成功したのだった。
しかし。その肉体は母そっくりの少女へと変貌していた。母への思慕、弟への罪悪感がエドワードの心に新たな感情を生み出していく。そしてそれはとうとうアルへの性的暴行と言う形で結実し、彼自身にそれを自覚させる事となったのだった。またアルも、自らの内に家族愛とは違うエドワードへの愛が生まれつつある事を悟り、そしてそれに従うように彼らは結ばれた。
…と、シリアスに語ってはみたが、結局アルの魂は男のままだったという訳で、未だにアルはエドワード以外の男性に恋愛感情を抱くと言う事はなかったし、自分を完全な女性として認識する事をどこか拒んでいる部分があったのだ。
そしてそれは今回のような状況で困った事態を引き起こす事があった。
アルは女性用の更衣室や化粧室を使う事が苦手だった。肉体は女性でもどこか居心地の悪さを感じて周囲の女性と顔をあわせる事が出来ないのだ。だが、それでもアルを知る者の居ない場所ではなんとか用をたす事が出来たが、この、軍司令部という知人の少なからずいる場所で、そうするのはアルの几帳面な神経では無理な話だった。
(出来るだけ人の少ない場所…見つけなきゃ!)
そうしてアルが選んだのが、資料庫のみが存在する司令部最上階の化粧室だった。その階の資料庫は、処分間近の殆ど利用される事のないものばかりが納められていた。過去に兄のエドワードとその場所で資料を漁った事があった。朝から夕方までそこに居たが、夕方になって彼らを呼びに来た軍人しか人が寄り付かなかった事をアルは思い出したのだ。
逼迫する尿意に促されながらも、その階にようやく辿り着いた。呼吸を整える時間も惜しいと感じながら化粧室の方に歩みをすすめたが、彼女はそこで2人のよく見知った軍人と出会ってしまったのだった。
「いよう、アルじゃねえか?こんな所で何してるんだ?」
いつも通りの明るい声でそう言ったのはジャン・ハボック中尉だった。そして、その背後には同僚のハイマンス・ブレダもいる。アルにとっていつもなら穏やかに挨拶の出来る間柄だったが、先日の一件(「知らぬが仏」参照の事!)以来、どうにも彼らと顔を合わせづらいと感じていたのだった。
「ひゃあ!あ…どうも…えっと…ちょっと…おトイレ…」
アルは顔を真っ赤に染めてどうにか返事をすると、彼らの脇を素早く駆け抜けて化粧室へと飛び込んだ。一目散に個室のドアを開ける。ショートプリーツのスカートをまくり上げて白いショーツを引き下げると、ひんやりとした便器の感触に驚きながらもようやく用を足す事が出来たのだった。心地よい開放感に浸りながら全てを出し切る。
だが、太ももの途中まで降ろされたショーツを見てアルはため息を着いた。
(どうしよう…ちょっとモレちゃった…)
先程のハボック達に出会った際に緊張の糸が僅かにゆるんだ。じゅわりと生暖かな液体が下着を濡らすのを止める事が出来なかったのだ。
ショーツは股の部分の大半が濡れていた。実際漏れた尿の量はそう大したものではないのだろうが、その濡れた様はアルにそのままショーツを身に着けさせる事を躊躇わせるのに十分だった。
排尿の後の後始末を終えて、しばらく考え込んだままのアルだったが、立ち上がるとショーツを足首から脱ぎ去って手にしたのだった。
「匂っちゃったらヤだし…軽く洗っておこう…」
幸い誰も来る事のなさそうな化粧室だ。こっそりと下着を洗った所で誰にも咎められる事はないはずだと思い、個室を出たのだが。
そこには彼らが立っていた。そう、ハボックとブレダが。
「アル、こっちは男子用だけどいいのかよ?」
ハボックらはアルが気付かずに男子用に飛び込むのを目にしてその後を追って来たのだ。
元々が弟だと知ってはいる彼らだが、鎧時代しか知らない者にはその後少女の姿となったアルを女性としか捉える事が出来ない。そんな彼らは美少女との誉れも高いアルが男子便所に飛び込むのを見て仰天したという訳だった。
「うああっ!だっ男子よ…う…ひっ…」
ハボックらと会った事、男子用に間違えて入ってしまった事、そしてわずかにお漏らしをしてしまったという事実がアルの繊細な神経を打ちのめした。
(あっ…やだ…ボク…なん…て…)
余りの羞恥心にくらくらと気を失い、後ろに倒れそうになる。そんなアルをハボックは慌ててその逞しく長い腕で支えたのだった。
「おい、アル!大丈夫か?」
アルが倒れそうになった瞬間、手放した脱ぎ立てほかほかのショーツ(ちょっと匂いつき)がハボックに肩に引っ掛かった。それに気がついたハボックがショーツを手に取るが、それがなんであるか理解して、今度はハボックの方が叫び声を上げて驚愕した。
「ななななっ!ぱぱぱぱぱんつぅぅぅ!」
驚いた拍子にアルから腕が離れてしまった。そのまま後ろにひっくり返ったアルは下着をつけてない秘所をハボック・ブレダ両名の眼前に晒す事となったのだった。
「あわわわわ…ぱんつ、ぱんつが…」
へなへなと腰砕けに化粧室の床に腰を降ろしたハボックは余計にアルの下半身を目の当たりにする形になっていた。ショートプリーツのスカートは丁度良い具合にめくれ上がって下腹部の、柔らかな飾り毛を惜しみなく晒している。その光景にまた茫然自失とさせられたハボックを押し退けて、ブレダはアルを抱き起こそうとした。
「ハボ!邪魔だ!アルを起こしてやらないと!」
「ぱんつが…しろいぱんつが俺に…」
「パンツばっか言ってるんじゃねえよ!いい加減にしろ!この素人ドーテ…え?」
しかし、今度はブレダが慌てる番だった。
「…ボクのぱんつ…欲しい?」
くすくすと笑いながらむくりと起き上がったアルはそう言うと、起こそうと手を握っていたブレダの手に逆に噛み付くようにキスを落としたのだった。
ハボックとブレダはアルの豹変振りに目を白黒させて慌てふためいた。そんな男達を笑うかのようにアルはピンク色の舌先をちらちらと見せて囁くように言う。
「…ボクのぱんつの中も…見せてあげようか?」
それからアルは立ち上がると、ブレダの手を自らの下腹部に這わせるように添わせた。ブレダの太い指がアルの湿った亀裂を撫で上げる。
「はあぁぁん…ふっといゆび…だいすき…」
艶かしく息を吐きながらアルは自分の手を添えてブレダの指を動かした。すぐに亀裂からぬめりを帯びた体液が溢れ出る。
「お、おい…これは…アルの奴、倒れた拍子にどっか打っちまった…のかも…」
ごくり、と唾を呑み込みブレダはアルの顔を見た。そこにはいつもの溌溂とした少女ではなく、とろりとした目で自分を誘う淫猥な少女がいる。
「ハボックよぉ、こりゃあ、アルを満足させてやらんといかんなぁ…」
ブレダはいやらしい笑みを浮かべてそう呟いたのだった。

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ハボックとブレダ、そしてアルが向かったのは先程までブレダたちが資料を探していた資料庫だった。中に入ると鍵を掛けて、そしてアルを手近な資料の上に座らせるとブレダが軍服のズボンの前をくつろげ始めた。
「おっおい!よせよ!これが大将に知られたらまたアルが酷い目に…」
未だアルのショーツを握り締めたままのハボックが慌ててブレダを制止しようとしるが、ブレダは構わず自らの欲望を取り出して言った。
「あのな、このままエドの前に出した所で、却って俺達の見ていない所でどうされるか分かったもんじゃないんだぞ?だったらアルを満足させてちゃんとしてから帰してやるのが親切心というものだ」
「でもなぁ…」
さも知ったかのようにそう言うブレダに尚もハボックは食い下がる。だが、2人して言い争いを続ける内にもアルは露出したブレダのペニスを見て目を輝かせそれに手を伸ばしたのだった。
「はやくぅ…おチンチンちょうだい!」
我慢出来ないと言うように、アルはブレダの下半身に縋ってその中心に僅かに立ち上がるペニスに顔を寄せ、舌先で先端を舐め始めた。
「うおっ!ほらハボック!アルが我慢できねえって言ってるんだ!早いとこ可愛がってやろうぜ!」
ブレダはそう言うと、嬉々としてアルの頭を両手で抱え、ペニスを深くくわえさせた。アルの方もそれに応えるかのように小さな口を一杯に開いて喉の奥までそれを迎え入れたのだった。
「はむぅ…あぐ…うっ…」
「おいおい…あんま激しくされるとすぐイッちまうよ…どれ…アルのも可愛がってやるぞ…」
目に涙を浮かべながらも上気した顔で上目遣いにブレダを見ながらフェラチオをするアルにブレダはそう囁くと、アルの顔を引き離して資料の上にアルの細い身体を横たえる。そして両足首を揃えて持つとそのまま上に引き上げた。
「ほれ、アルどうだ?ケツの穴もばっちり見えてるぜ…」
アルはまるでおむつを換えられる赤ん坊のようにされて、表情を歪めて声を上げた。
「はっ…はずかしい…よう…やあん…」
だが、そう言いつつも、アルの亀裂からはまたしても体液が染み出て妖しく輝いた。
「ん?恥ずかしいって?でもココはもっと見られたいって言ってるぞ?」
今度は足首を両手で持って大きく開いた。柔らかい股関節に助けられて亀裂がぱっくりと開き、その内部の赤い肉が丸見えになる。それはアルが引き攣れたような息をする度に同じようにひく、ひくと痙攣した。
「うーんきれいなモンだ。エドのやつ、コドモがこんないいモノを一人占めにしちゃイカンなぁ」
「は…はやく…触って!我慢できないのぉ…!」
アルがほろほろと涙を流して訴えた。ブレダは最初亀裂に向かって息を吹き掛けたり周囲の肉を指先で弄っているだけだったが、アルの訴えににやりと笑うと、右の指先で勃ち上がり始めた蕾を、左の指先でもう一つの穴、本来は排泄の為のそれを弄び始めたのだった。
「ひあっ!ダメ…おしり…だめえ!」
細い腰をがくがくと上下させてアルは抗うが、ブレダの逞しい腕はそれを許さない。ブレダは自分の唾液で指を湿らせると、アナルに徐々に指を沈めていった。やがて指が第一関節を過ぎた辺りまで進んだところで、アルはうっとりとした表情を現し始めたのだった。
「…驚いたな…エドのやつ、こっちまで開発済みだ…流石は天才…」
ブレダが指の腹でアルの直腸の内壁を刺激すると、アルは横たえていた頭を持ち上げて激しく反応した。
「あっ…おしりぃ…ダメ…ヘンなのぉ…あーっおしり…イっちゃうよぉ…!」
一際甲高く叫んで、そして脱力する。時折腰だけひくひくと痙攣させたアルは手足をだらりと埃まみれの資料の上に投げ出したまま、掠れた声で言った。
「…入れて…」
「いいぜ。お望み通りにしてやるよ」
ブレダはポケットを手で探ると小さな包みを取り出した。封を切って自分のペニスに装着し、アルの腰を抱きかかえると亀裂の上を数度往復させてから思いきってその中に割り入ったのだった。
「なんでそんなモン持ってンだよ…」
アルとブレダの絡みを傍観していたハボックが呆れたように呟いた。それにふふん、とブレダが鼻で笑って返事をする。
「男のたしなみさ。いつどこで何があるか分からないんだ。それを分からないからお前はモテない。後でひとつ分けてやるぜ」
やがてブレダはゆっくりと前後に腰を動かし始めた。指で慣らされた訳ではないアルの秘所は先刻のオーガズムも手伝ってブレダの一物をきゅうきゅうに締め上げる。その余りの締め付けにブレダが声を上げた。
「うへッ…なんて狭さだ!エドのモンならちょうど良いだろうが、俺にゃあちと狭すぎるなぁ…だが…これはこれで…うう…いい具合だ…」
次第に慣れて窮屈さと違った肉の締め付けを味わいながら、ブレダはそのでっぷりと太った腰をアルにぶつける。アルはアルで大きく股を広げて精一杯ブレダを迎え入れていた。
「ふあああ…!おっき…い…壊れ…ちゃ…うッ!ボク壊れるぅ…!アソコ…あっ…ああっ…そこ…そこぉ…おチンチンで…おなか…いっぱいだよぉ…!すごッ…いい…イイのぉ!」
涙と涎で顔中をぐちゃぐちゃにしながらアルは再び達して大人しくなった。ブレダも数度激しく動いて精を放つと、アルから離れて自らの後始末を始めたのだった。
「ふぃーっ…ああ、気持ちよかったなぁ…アルの奴、落ち着いたかね?」
ブレダはそう言ってぐったりとしていたアルを見た。だが、アルはしばらくは大人しくしていたのだが、快感の波が弱まると虚ろな瞳のまま、今度はハボックを見てそちらの方へ身体をにじり寄らせていたのだった。
「…おい、まだ満足してないらしいぞ。俺はもうお役御免だ。今度はお前が相手をしてやれよ」
身なりを整えながらそう言うブレダに、ハボックは血相を変えて叫んだ。
「まっ待てっ!大将にばれたら…」
「黙っててやるよ。それよりこのチャンスを逃すと痛てえぞ?こんなに若くてカワイイ子が相手なんてもう2度とないかも知れん。うまくすりゃ、鋼の錬金術師と義兄弟になれるぞ」
そうしてブレダはハボックの足元に縋るアルの丸い尻をぴしゃりと叩いて笑いながら言った。
「よお、アル、今度はハボに面倒見て貰いな。こいつのはデカいぞ!壊されねえように気をつけろよ」
去り際、ブレダは予備の避妊具をハボックに投げ付け、そして資料庫を出て行ったのだった。
残されたアルとハボックは向かい合ったまま動かずにいたが、やがてアルがにい、と淫微な笑みを浮かべて甘えた声を出し始めた。
「…ボク、ブロンドのお兄さん、だいすきなの…」
「はっ…はあ…そ、そうスか…」
「ボクのにいさんもきんいろなの…アソコの毛もきんいろなのぉ…お兄さんのアソコも、きんいろ?」
「いっ一応…」
「…みせて…」
くすくすと笑いながら、アルはハボックのズボンのベルトに手を掛けると、器用にそれを外してしまう。そしてハボックは戸惑っている内にズボンも、下着も脱がされてしまったのだった。
ハボックの下着を引き降ろされた瞬間、既に硬く膨張したペニスがぶるり、としなってその姿を現した。マスタングに「無用の長物」と揶揄される程女運に見放されたそれではあったが逞しい体つきに見合った立派なペニスにアルはうっとりと見とれて呟いた。
「おっきい…たべたい…」
じゅるりと舌舐めずりをしたアルがハボックの一物をくわえこむまでにそう時間は掛からなかった。口一杯にペニスを頬張りながら、アルは自らの亀裂に指を這わせ、切なげに呻いた。
「はむう…おっひぃ…おひんひん…ひゅひ…」
ペニスをくわえたまま話すアルに、ハボックは目を白黒させて必死に耐えた。
「うわぉっ…たのむ…喋らないでぇ…でそっ…」
不意にアルはハボックのペニスから口を離した。そしてハボックを床に座らせると、そそり立つペニスに唾液を垂らし、自分の柔らかな胸で挟み込んだのだった。
「うわっうわあああっ!」
「パイズリしちゃうからね…おっきくてやり易いねぇ…」
ぐっちゃにちゃっ、という音と、ハボックの悲鳴が狭い資料庫内に響いた。
アルはハボックのペニスを胸に挟み込んだまま、俯いて舌先を伸ばした。舌をそれほど伸ばさずとも先端に届いたので、彼女は嬉々としてペニスの鈴口やくびれをぴちゃぴちゃと嘗め回して呟いたのだった。
「うふふ、おっきい…にいさんのはいっぱい伸ばさないととどかないの…」
大将、ひでえ事言われてるから!と頭の中で叫びながら、とうとうハボックは達した。背筋をびりびりと痺れるような快感が襲い、自分で放出するのとは段違いの快感に思わず身体を強ばらせる。一方で、アルは大量の精液を頬や口元に受けながらうっとりとそれを舐め回したのだった。
はぁはぁと荒い息を継ぎ、もうハボックは自分を押さえる事が出来なかった。ブレダから受け取った避妊具を夢中で装着してアルに問う。
「どっ…どんな風にされたいんだ?」
「だっこぉ!」
ハボックはアルの身体を脇を支えて抱え上げると、自らの膝の上に乗せて彼女を貫いた。
「ひぅっ…こわれちゃうぅぅぅ!はああっ…あくぅ…」
アルが日頃相手にしているエドワードのペニスとは長さも、太さも大幅に超えたハボックのそれにアルは苦悶の表情で耐える。ごりごりと内壁をくびれた部分で擦り上げられて次第に苦痛は快感へと変化していった。
「はあっ…どっ…どうだ…気持ち、いいか…?」
アルの身体を軽々と上下に揺さぶりながらハボックは彼女の耳元で囁いた。アルはそれに軍服の布地を引っ掻きながら答えた。
「すごいのぉ…おチンチンあたるぅ…奥までっ…やあんっ…あっあああ!ボクのオ●ンコ壊れるぅぅ!壊れちゃうのぉっ!」
そう叫びながらも繋がりあった部分からは体液が溢れ出た。そうしている内にアルは再び達すると訴え、腰をびくびくと痙攣させた。
「イクぅ…あ…ああ…いっ…」
最後にアルの内部がぎゅうっと収縮し、それにつられたハボックも達した。2人して身体を大きく数度痙攣させた後、ようやくの思いでアルの身体からハボックが離れる事が出来たのは数分の後の事だった。
「やっ…やっちまった…!」
萎む自身のペニスとは反対に、ハボックの心の中に罪悪感が大きく広がっていった。据え膳喰わぬはとばかりにアルを抱いたブレダの様に自分は楽観的になれなかった。日頃から育ち盛りの子猫のように兄のエドワードに甘えるアルを見ているハボックはもしもエドワードがこの事実を知ったならと肩を落とした。エドワードが怒り狂って自分やアルに暴力を振るうのも恐ろしかったが、それ以上にエドワードが悲しむ事を自分は知っている。たったひとりの元弟の妹を、恋人を、家族を陵辱されて悲しまない男などいないのだ。
激しい交わりの後で意識を失ったアルの傍で、自らの後始末を終えたハボックは申し訳ないような、落胆した気持ちで次にアルの身体を清めてやろうとした。持っていた手拭いを濡らして身体を拭こうと資料庫を出ようとしたその時、資料庫のドアを蹴破って姿を現したのは…エドワードだった。
「くぉんんのぉぉぉ野郎ぉぉぉ!アルに何してやがるっ!」
エドワードはあまりに帰りの遅いアルを心配して司令部内を探して回っていた。そうしてようやく最上階に達した時にアルの嬌声を聞き付けて辿り着いたという訳だった。
「た…大将っ!ちがっ…待ってくれ!」
「待つかっての!」
激昂したエドワードは機械鎧の右手の甲を刃先に錬成して素早い動きでそれをハボックの喉元に突き付けた。怒髪天を突く勢いで10才近く年上のハボックを睨み付けながら刃先を動かそうとした瞬間。
「…にいさん…ごはん…おいしい…?」
アルが寝言を、呟いたのだった。疲れ切ったのであろう細身の身体を丸くして、幸せそうな表情でそう呟いたのだ。途端、エドワードは錬成した刃先を元に戻すと辛そうに話し出した。
「ハボック中尉…こいつ、ショックな事があるとおかしくなっちまうんだ…なんか、あったの?」
ハボックはアルとの経緯を一通り話した。エドワードは少々怪訝な顔をしたが、それでも先程のように怒り狂うこともなく、今度は横たわっているアルの身体を抱き起こした。それからハボックと2人でアルの身体を清めてやる。途中、ぽつぽつとエドワードが口を開いた。
「…俺がこいつをこんな風にしちまったんだから…俺が怒れる筋合い、ないんだよなぁ…」
アルの乱れた前髪を整えながら、エドワードは呟いた。普段彼を取り巻いている反骨心や正義感、全ての勢いと言うものが剥ぎ取られたような、弱く寂しげな少年の姿にハボックは目を背ける。どうして自分はブレダを止めなかったのか。そして自らも誘惑に打ち勝つ事が出来なかったのかと自問した。
やがてエドワードはアルを背負いながら言った。
「アルには今日のこと、黙っててくれな…きっと知ったら、もっと驚いてぶっ倒れちまうから…そうだ、准将が探してたぜ…早く戻った方が良いよ」
ハボックは自分よりもずっと小さなエドワードの背に、思わず声を掛けた。
「…大将!あんまり一人で背負い込むんじゃねえぞ!あと…悪かった!今度会ったらぶん殴ってくれ!」
エドワードは振り返りただ苦笑しただけだった。

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夕陽の中、アルは揺れるエドワードの背中で目を覚ました。しっかりとした背中から伝わる体温に安堵したが、不意にどうして自分がエドワードに背負われているのか不安になって彼に声を掛けたのだった。
「…にいさん…ボク…」
目を覚ましたアルに気付いたエドワードはそれを察して静かに話し始めた。
「お前、トイレでぶっ倒れたんだって?」
「あ…うん…」
「ハボック中尉が助けてくれたんだぞ?後で会ったら礼、言っておけよな」
倒れただけにしては身体がどうにもけだるく動かない。だがそれを口にすればエドワードがまた大騒ぎすると思ったアルは何も言わずにいた。
「なー…アル…」
エドワードが言う。
「…俺の事、好きか?」
何を今更とアルは思ったが、いつも通りに答えた。
「勿論だよ!ボクは兄さんしか好きにならないし、兄さんといつだって一緒にいたいよ」
笑いながらそう答えたが、しばらくしてエドワードが小さく嗚咽を漏らしているのに気付いたのだった。
何故兄は泣くのだろう?
「どうしたの?なんか変なものでも食べちゃったの?お腹いたいの?それともボク…兄さんが悲しむような事をしたの?」
エドワードは何も答えなかった。答えずにそのままアルを背負って歩き、しばらくして鼻をずずっと啜ると「何でもねえよ」とだけ言った。
夕陽の中、エドワードはアルを背負って歩いていた。途中、アルがエドワードの背中に縋り付いたまま言った。
「兄さん、家に着いたらお風呂入りたいなぁ…一緒に入ろうよ?身体洗いっこしようね…久しぶりにさぁ…」
エドワードは相変わらず何も答えずにいた。ただ、アルを背負う腕に力を込めただけだった。

このお話は冒頭でも書いた通り、一連の妹話とは別ですが、設定は「知らぬが仏」と「はずかしいのは好きですか?(こちらはweb未公開です。ご覧になりたい方は同人誌「はずかしいのは好きですか?」をどうぞ〜)を引き継いでいます。

一応副題は「ハボの素人童貞喪失編」(ごめん、ハボ!)ですが、果たして本当にそうなのかは神のみぞ知ると言ったところでしょうか。最初はマスタングも加わって…などと考えていましたが(そして彼がいればもっと脳天気なえっち話に落ち着いていただろう)結局こんなんに…。兄はもう鬱スパイラル状態。このあとお風呂で洗いっこしても全然元気にならなくて(アレが!)アルに慰められて…とかあったりして。


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