一「総士、今日の晩飯何にしようか?」
総「お前の料理なら何でも構わない」
一「じゃあさ、肉じゃが食べるか?昨日じゃがいもが特売で安かったから沢山買っておいたんだ」
総「肉じゃがか。久しぶりだな……家庭の味、というやつか」
一「アルヴィスの食堂のメニューにはないからな。よし!じゃあ肉じゃがに決定だ!奮発していつもよりも多めに肉を入れよう。買い物は……タマネギはあるから、豚肉としらた……」
総「……豚肉?肉じゃがには牛肉を使うのではないのか?」
一「えっ?いや、普通肉じゃがって言ったら豚肉だろ?」
総「いや、牛肉だろう。僕が食べた事のある肉じゃがは牛肉が入っていた」
一「それは総士んちだけだ。俺が隣りのうちのおばさんから習ったのは豚肉を使う作り方だ!」
総「いや、それこそ豚肉を使うのは一騎の家の近所だけだろう……」
一「肉じゃがなんてありふれた家庭料理じゃないか!そんなものにあんな高い肉が入る訳がない!」
総「牛肉が高い……?それはそうかもしれないが……じゃがいもに一番合うのは牛肉だ。そのくらい料理に疎い僕だって分かる。だったら牛肉が肉じゃがを作る上でデフォルトな材料と言えるのではないか?」
一「訳分かんない事言うなよ。肉じゃがは家庭料理!だから豚肉でいいんだ!」
総「僕にはお前の言っている事の方が理解出来ない。一番合う材料で作るのが悪い事なのか?肉じゃがは牛肉とタマネギとジャガイモで作る。それでいいだろう?」
一「総士はそう言うけどな……今だって材料をもうひとつ忘れてるぞ!しらたきが抜けてる!」
総「しらたき……?馬鹿げた事を言うな。しらたきはすき焼きに入れるためだけに存在する食材だ。それを肉じゃがに入れてどうする!肉じゃがにおける肉の比率が下がってしまうじゃないか!」
一「だから!その肉が少なくても満足するようにしらたきを入れるんだろっ!うちじゃじゃがいもしらたき肉じゃがいもタマネギじゃがいもしらたきタマネギの順番で食うんだぞ!肉なんかそんなに入れないし!」
総「肉じゃがという料理名に反しているじゃないか!肉じゃがというからには肉とじゃがいもがせめて同量入るべきだ!」
一「そんな事をしたら晩飯のおかずだけで一日分の食費が消えちゃうよ!無理!絶対に無理だから!」
史彦「2人とも、言い争いはよさないか。牛肉でも豚肉でも、どっちでも一騎の作った物は美味いから俺はどちらでもいいぞ」
一総「あんたが言うな!」