SE,雨の降る音(フェードインした後、少し音を下げる)

春暁01「今宵も雨か…。もうじき梅雨になるな。いや、既に梅雨なのか?」

02「さて、な。今日は何日だったか?」

春暁03「五月十日。旧暦だと四月六日だ」

郁04「確か先負だったな。なら今日は運がいい。何事もなくこの日を終えそうだ」

春暁05「全くだ。貴女は気短で、些かの挑発にも乗ってしまう。せめて時と場所と体調を考慮した上で、事に臨んでほしい」

郁06「春暁、お前は鷹揚にかまえすぎだ。古参に対する礼儀とやらを啓発してやったのではないか」

春暁07「その相手を屠ってしまっては、意味もあるまい。確か一昨昨日もそうだったな」

郁08「あの男か。何とも妙な輩だったな。私に言い寄る者など、疾うの昔にいなくなったと思っておったが」

春暁09「俺には何をしているのか、不可解でならなかったがな」

郁10「私も、まだ捨てたものではないのう。(上品な笑い声)」

春暁11「(含み笑い)言っていろ。…ふぅ」

郁12「(多少の間を置いて)学窓はどうだ?」

春暁13「平穏だな。別段変わったことなどない」

郁14「(微笑みながら)出鱈目を言うでない。お前から、お前ではない微弱な妖気を感じるぞ?これまた妙な学友を作った物だ」

春暁15「気のせいだな、俺は変わらず一人でいる。やはり、そろそろボケてきたか?」

郁16「はっはっは!(笑いながら)長年共に居るが、お前は嘘はつけんな。自覚も無い所がまた愛らしい」

春暁17「……」

郁18「(まだ少し笑いながら)そう拗ねるな。ははっ、兎にも角にも、楽しそうで何よりだ」

春暁19「…ふん」

(間)

郁20「直に日が変わるな」

春暁21「…そうだな」

郁22「確か明日は学窓の休日だったか」

春暁23「断っておくが、暇を持て余すなど御免だ」

郁24「却下する。偶の暇を持て余すくらい、いいだろう?」

春暁25「……」

郁26「案ずるな、私は強い。それはお前が身を持って知ったことだろう?」

春暁27「承知している。誰が貴女の身を案じてなど…なっ!」(…でSE抱擁)

郁28「ふふっ、可愛い奴め。安心しろ。私は必ず帰ってくる」

春暁29「…何を当然のことを。それより、この腕をどけろ…」

郁30「何を照れている。長年連れ添った仲だ。言わば親子同然だろう?」

春暁31「・・・好きにしろ」

SE,雨の降る音(一度普通に戻してフェードアウト)

 

タイトルコール(春暁)『逢学妖研研究記、第三話・妖狩りの女。前編』

貴子32「昨日の天気とは打って変わって、本日は晴天。正に散策日和ね」

誠司33「それでこんな朝早くから呼び出したわけですか…」

春暁34「……」

夾35「あぢー…」

聖36「だらしないですわね、この程度の暑さで…」

夾37「うるせぇ!ひじきは日傘があるから少しは涼しいだろうよ!と言うか、他の部員はどうした!」

聖38「ひじりです!」

貴子39「龍太郎は家の用事。キサラんとキララはお買い物。ユッキーはお勉強中。やっすーは連絡なし。さきちゃんは学校でお留守番」

誠司40「さきことキサラ・キララは兎も角、他の奴は逃げたな…」

聖41「康之は寝ているのでしょう?恐らくは」

夾42「くそぉ!あんな電話に引っかからなかったら、涼しい部屋で夢の中だったのにぃ!」

貴子43「はいはい、過ぎたことはグチグチ言わない」

44「ところで、あんな電話とは?」

夾45「おぉ!聞いてくれよぉ、ひじき〜」

聖46「ひじりです…」

夾47「貴子先輩ったらよぉ!めっちゃくちゃなドス声で『今日の部活に来なかったら…』って言って電話切ったんだぜ!?」

聖48「それで?」

夾49「?…それだけだけど?」

50「はぁ?」

夾51「だってだって!本当に怖かったんだよ!来なかったらどうなっちゃうのか…恐ろしいじゃねぇかよぉ!」

誠司52「今はもう諦めるしかないだろう。気分転換だと思えば、気が楽になるはずだ」

貴子53「そうそう♪誠司くん分かってるわねぇ」

聖54「もうどうでもいいとして、そろそろ行きません?」

夾55「どうでもよくねぇ!!本当に怖かったんだぜ!?」

聖56「語るのは止めませんが、そろそろ散策を始めませんと春暁が…」

春暁57「・・・・・・」

貴子58「あらあら、しゅんくんの周りが煙をあげているわね」

誠司59「・・・恐らくは水蒸気だろう。空気中の水分が春暁の熱で蒸発しているんだ」

夾60「そんな漫画みたいなことできるのかよぉ!?既に人間じゃないぜ!」

聖61「私たちまで蒸発させられたら堪りませんね・・・。早く行きましょう」

春暁62「・・・・・・」(歩きだす)

夾63「今近寄るのは…止したほうがいいな…」

貴子64「でも、集団行動は基本中の基本よ」(歩き出す)

夾65「うぇ〜・・・」

誠司66「置いていかれるぞ、早くしろ」(歩き出す)

夾67「分かってるよぉ〜」(歩き出す)

フェードアウト、歩く音

 

(間)

 

フェードイン、歩く音

春暁68「止まれ」

歩く音、止

夾69「どうした?春暁」

春暁70「・・・」

夾71「春暁・・・?」

誠司72「シッ。耳を澄ましてみろ」

貴子73「っ!伏せて!」

聖74「何なんですの!?」

(衝撃波的な何か)

春暁75「チィッ!囲まれている・・・」

貴子76「今の今まで何の気配もなかったはずなのに…、こんな大勢…」

誠司77「只の雑魚ではないようだな…」

聖78「関係ないですわ。害になるのなら消すだけです!」

夾79「…せっかくの休日」(怒りを含めて)

貴子80「きょんきょん?」

(ざっざっ…と踏みしめて歩く音)

誠司81「何してる!夾!」

夾82「適当に散歩して帰って、寝るつもりだったのに…」(怒りを貯めてる感じ)

(妖怪が飛び掛ろうとする)

聖83「夾!」

夾84「御前等が出てきた所為で…」

(刀を抜く音)

夾85「また帰りが遅くなっちゃうじゃないかぁ!!鬼殿・隼嘴!」

(斬る音)

(断末魔)

夾86「うらうらうらうらぁ!!」

誠司87「全く!そんな無茶苦茶に剣を振り回してどうするっ!加勢するぞ!」(走る音)

聖88「分かってますわ!」(走る音)

貴子89「もうっ、勝手に行動しちゃって!しゅんくん!行くわよ!」

春暁90「断る」

貴子91「あぁ!?何を言って・・・っ!!」

(妖のうなり声)

春暁92「囲まれてる、と言ったはずだが?」

貴子93「幾らなんでも、こんな数!」

春暁94「貴様は奴らと行け。近くにいられると邪魔だ」

貴子95「邪魔って…。言ってくれるじゃない!ふっ!」

(矢を放つ音)

(妖の叫び声)

春暁96「っ!!余計なことをっ!」

貴子97「え!?」

(妖の遠吠え)

春暁98「一匹殺るのなら全てを殺せ!あれでは怒りを買うだけだ!」

貴子99「くっ!無理な注文だわ!」

春暁100「こうなった以上仕方ない…。もう失敗は許されないぞ!」

貴子101「分かってるわよ!」

春暁102「行くぞ!!」

 

 

さきこ103「次回予告です〜」

龍太郎104「やはり面倒事になったな。行かなくて正解だった」

康之105「ほんまですわ。ま、ワイの場合は寝過ごしただけですけどね」

龍太郎106「それは運が良かったな。せっかくの休日、お互いのんびり過ごそうではないか」

康之107「ほんじゃ、駅前にいってキサラ兄さん達と合流しましょうか。ショッピングらしいですからね」

龍太郎108「そうだね。今日は久々に遊ぶか!」

康之109「おぅ!」

さきこ110「ふふふ〜、後日貴子さんに報告なのです〜」

龍太郎&康之111「忘れてたぁ!!」

さきこ112「では次回『妖狩りの女・後編』」

113「ふふっ、次回は私の出番ね」

龍太郎&康之114「あんただれ!?」