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Scene03 Yuri V.S. Estelle

さらわれたエステルを追ってザーフィアス城までやって来たPC達。
しかし、彼らを待ち受けていたのは、黒幕アレクセイに操られたエステルだった!
動揺する彼らに、エステルは剣を向ける……!

GM:とゆー超盛り上がる場面から始まります!
一同:盛り上がるどころじゃねぇぇぇぇっ!?
GM:うひひ(笑)んじゃ、戦闘のルールを説明するねー。いつも通りメンバーから4人を選んで、こちらの『エステリーゼ(強化型)』との戦闘を……
ユーリ:……いや、待て。
GM:ん?
ユーリ:エステルとの戦闘はオレ一人でやる。みんなはエステルを解放する準備をしててくれ。
一同:えぇっ!?
GM:こっちはかまわないけど……言っとくけどエステル、強いよ!?
ユーリ:ああ、さっきの前哨戦でだいたいの強さは分かったし、オレだけで大丈夫だ。
カロル:さっきのって、めちゃくちゃ強かったよ!?
パティ:むむむ、何やら秘策がありそうじゃの?
レイヴン:(ユーリのキャラクターシートをちらりとのぞき)……なるほど。そういうことなら、青年に任せるわ。
リタ:(同じくキャラシーを見て)あー、そっか、これならいけるかも……
ユーリ:ああ。あとはギルドスキルを使ってくれれば、それでいけるはずだ。
カロル:んー……分かった! そのかわり絶対負けないでよ!?

そして、ひとつの目的のために団結する凛々の明星。そこに……

エステル:……あのー、ちょっといいですか?
GM:ああ、ごめんねエステル、今回操られててばっかりで。もう少し待っ……
エステル:(GMを遮り)いえ、あの……その戦闘、私がダイス振ってもいいですか?

…………え?

GM:あ、あのこれ、一応エネミーデータなんだけど……
エステル:だって暇なんですよ! それに……
GM:それに?
エステル:一度、PCの立場でエネミー特殊能力って使ってみたかったんですよねー!(笑顔)

そう言って微笑むエステルのプレイヤー。花が咲いたかのような空気には、明らかに『殺意』の二文字がくっきりと、刻まれていた。

ユーリ:いや、いいんじゃねえの?
GM:お、王子までっ!?
ユーリ:プレイヤーを退屈させないのもGMの仕事ですよ(笑)それに……
GM:……それに?
ユーリ:エステルとは一度、本気でやりあってみたかったんだ(笑顔)

正直に言おう。この時のユーリは本当に目の色が変わっていた。
修羅だ。ここにも修羅がいた。

エステル:じゃあ決まりですね! やったー、エネミー特殊能力、どれから使おうかな〜……
ユーリ:こっちもスキルの見直しとかするか……まずこれを使って……
GM:……(正気に返った)はっ、ほらもう、始めるよっ!?
二人:あ、はいっ、大丈夫です!
GM:よし、じゃ気を取り直してセットアッ……
二人:…………(お互い真剣な顔で自分のシートとにらめっこしている)
GM:ちょっと二人ともっ!? は、始めるぞー!?
二人:は、いや、大丈夫ですよ?

どこがだ。
ともかく、やっと二人の対決が始まった……長かった。

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(BGM:満月と明星と)

GM:まずはセットアッ……
エステル:セットアップですね! 私はもちろん《二回行動》ですっ!
ユーリ:待て、行動値はオレの方が上だ。
GM:……(もうどうにでもしてくれ)
エステル:ユーリは《パワースマイト》じゃないんです?
ユーリ:いや、違うな(ニヤリと笑み)セットアップでアイテム『母の形見』を使用する!
エステル:? 効果は何です?
GM:ああ、前にクエストで手に入れた奴か。さっき装備変更したんだな。
ユーリ:そう。効果は「対象はこのシーン中、エネミー特殊能力を使用することができなくなる」だ!
エステル:え……えぇーっ!?
ユーリ:ついでに説得しとこう。「一体お前は何やってんだよ!」
エステル:(聞いてない)うぅ……せっかく、せっかくエネミー特殊能力使えると思ってたのに……
ユーリ:こんな所でホントにそんなもん使うつもりかよ! NPCになってもいいのか!(一同爆笑)
エステル:だって使ってみたかったのにー!(しょぼーんと、キャラシーに目を落とす)
ユーリ:オレの目を見ろ、エステルっ!!(一同大爆笑)

みんなが笑ってしまったため、一時セッション中断の憂き目にあった。
というわけで、気を取り直して1ラウンド目。

エステル:ユーリのアイテムで《二回行動》がキャンセルされたので取り下げて《セルフサクリファイス》です。行きますよー!

(そして中略)

エステル:さ、3ラウンド目……よくもちましたね、ユーリ……でも、これで終わりです! 攻撃行きます!(ダイスを振る)
ユーリ:避けない。《ストライクバック》!
エステル:えっ!? これが当たったら、ユーリ、死にますよ?
ユーリ:問題ない。カロル!
カロル:《蘇生》承認!
エステル:えぇっ!? そ、そうしたらHPが回復して仕切り直しに……?
ユーリ:いいや、回復するのはオレだけだ。なぜなら今のエステルは……ギルドメンバーじゃないからだっ!!
エステル:あぁ〜っ!? そ、そうでしたー!!
ユーリ:HPが全快して《ストライクバック》の判定は成功! ダメージも出たぞ!
エステル:で、でもこちらのダメージも通りますよ! えいっ!
ユーリ:そのダメージに対しては《ソウルバスター》!
エステル:あぁー! そ、そんな〜……
ユーリ:で、こっちの攻撃だな。マイナーで《ファストセット》《スマッシュ》《レイジ》、メジャーで《クロスクラッシュ》!
エステル:スキル構成がアルとほとんど一緒じゃないですかっ!?(一同笑)
ユーリ:だって強いんだよこの組み合わせ!(笑) 一発目、命中にフェイトも使って……クリティカル!
エステル:回避失敗です!
ユーリ:……(少し考えて)ここで削りきれなかったら、二撃目を防がれるか……よし! 《ボルテクスアタック》乗せる!
エステル:それは耐えられません! 《ガーディアン》ですっ!
ユーリ:よしっ! 切り札使わせた。二発目……っ!(ダイスを振る)
エステル:……クリティカルじゃないけど、こっちも避けられません。
ユーリ:ダメージに残ったフェイト全部つぎ込む! (ダイスを振る)……っ!? これは、ちっと低い……か?

ユーリの振ったダイス目を合計しても、エステルの残りHPには僅かに届かない。
絶望の色に染まりかける凛々の明星。だが……

エステル:(静かに)……いえ、大丈夫です。
ユーリ:え?
エステル:今のユーリの攻撃に《ディスコード》。これで……(ダイスを振る)……私のHPは0です。
ユーリ:エステル……!?
エステル:ゆっくり倒れます。……あ、ここからはGMに演出をお返ししますね(笑)
GM:いや、もういいです。もうそのまま続けます……(しょぼーんとしている)

続くかも……?

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あとがき。

調子に乗ってなんちゃって演出戦闘。ルール上のミスがあっても何も言うな!!
GMそっちのけになるほど戦闘を楽しむ二人(注:主人公とヒロイン)いや、実際にゲームやってた時にそんな風に見え(ry
ヒロインでも容赦なく攻撃するクレバーさがとてもステキでした。