Novel

アルピィじゃなくてピアアルです。女攻めが苦手な方はお気をつけください。

恋した小鳥がピィピィ鳴いた。

「ア〜〜〜〜〜〜ル〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「おわぁっ!?」
 静寂を破り、女王の声が響く。それはいつもの彼女の小鳥が囀るような愛らしい声とは少し違っていて、アルは鼓膜が破れる錯覚を起こした。
「な、ひ、姫さんっ!? なんで……」
「悔しい〜っ! 一人も殺せなかった〜!!」
「何の話だ、何のっ!?」
 可憐な唇からこぼれ出る物騒な言葉に、思わずアルはペンを取り落とした。
 そこまでやってから、ようやくピアニィは我に返り、彼女の騎士から身を離す。そして慌てて取り繕うように、
「……あ、TRPGの話ですよ、TRPGの!」
「ああ、あれか。俺も行きたかったけど忙しかったからな……」
 手をぱたぱたと振るピアニィに、なんとか意味を理解したアルが頷いた。

 アルが城に残って小説を書いている間、ピアニィたちは外でTRPGコンベンションに赴き、セッションに興じていたのだ。だが、とアルはふと首を傾げた。
 今はまだ陽も高い。帰ってくるには早すぎるのではないか、と。
 そのことを聞くと、ピアニィは笑顔で即答した。
「アルのことが心配で、あたしだけ先に帰ってきたんです!」
「姫さんに心配されるようなことは何も無いと思うんだがな……」
「ありますよっ!!」
「!?」
 途端にずずいっとピアニィの顔が近づく。困惑するアルに、女王はこともなげに続けた。
「あたしがいない間、アルの貞操が誰かに奪われるかもしれないじゃないですか」
「はぁ?」
 意味が分からない。大体貞操って何がだ。そう聞き返そうとした瞬間にアルは言葉を失った。

「ちょっ、姫さん? 何やって……」
「何って、身体検査です。アルが汚されていないかどうか」
 にっこりと笑いながらも、ピアニィの手はてきぱきとアルの服を脱がせていく。
「敵は他国だけじゃなく、このお城の中にもいるんですからね。いつアルを傷物にされるか、分かったものじゃありません。いいですか、アルはあたしのものなんですからね?」
「ひ、人をモノみたいに……っ」
 次の言葉は、ピアニィがアルを机に押し倒したことにより途切れた。力ではアルの方が上とはいえ、曲がりなりにも主従関係を結んでいる以上、アルに抵抗する術は無い。
「さあ、おとなしくしててくださいねー」
「やめっ……!」

 アルが引きつった声を上げるのと同時に、なぜか棚に飾られていた一輪の椿の花がぼとりと落ちた。

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あとがき。

第二弾はピアニィ編でした。陛下を止められるものは誰も居ない!ので、最後まで突っ走った結果がこれだよ!
注意書きにも書きましたがアルピィではなくピアアルです。陛下が突っ込む方ですよ。
この後ベッド脇で煙草をふかすピアニィと女の子座りで両手で顔を覆ってしくしく泣いてるアルの図が出るはず(笑)

※なお、この作品はフィクションであり、登場する人物、団体名等は実在の人物とは一切関係ありません。