拍手お礼

子犬みたいにベッタリ甘えてみたり。

「アールー♪」
「おわっ……何だよ、姫さんか」
「えへへー」

 ふと片腕に気配を感じ、振り返ってみるとピアニィがアルの腕にしがみついていた。
 その様子は、いつもの殺意溢れる、いわゆる『殺意カワイイ』というよりも、もっと幼い子がじゃれているように思えてくる。
 いや、別にいいのだがどことなく居心地が悪く感じる。
 空いている方の手で頭をかきながら、アルは微妙に困った表情になった。
「なあ……なんか用なのか?」
「んーん、別にありませんよ♪」
「じゃあなんで、こんな体勢に……?」
「あたしがそうしたいからですっ」
 にこやかに答える女王。アルはわけが分からずフリーズしてしまったが、それゆえにピアニィから離れることもできずにいる。

(うふふ、計算通り)

 ピアニィは心中ほくそ笑んだ。


 なかなか恋愛モードに入ってくれない超☆鈍感なアルをなんとか攻略するために、今日は少し作戦を変えてみたのだ。
 まだ全然意識されていないようにも思えるが、それでも傍から見れば普段よりもラブ度は高く見えるはずである。今日はこのまま押し通そう。
 ピアニィが改めて決意した、その直後であった。

「おおっ、陛下がいつもと違うでやんす。まるで子犬のようにアルにじゃれついているでやんす」
「あ、ベネットちゃ……」
「……こ、子犬ッ!?」
 偶然通りかかったベネットにピアニィが返事するより早く、アルは叫んだ。声が震えている。
 ピアニィが掴んでいる腕もありえないほどガタガタと震えているのが分かった。
「あ、あの……アル……」
「よっ、寄るなぁぁぁぁぁっ!?」
「!?」
 神速の動きでピアニィを引っぺがすと、アルは一目散に壁際まで後退した。
「ち、違うぞ! 子犬が苦手ってわけじゃない! 恐ろしいだけだっ!!」
「どっちも変わんないでやんす」

 要するにこれは、ベネットの不用意な一言により、じゃれついてくるピアニィを子犬のようだと認識してしまい、アルの犬嫌いが発動してしまった、ということで……

「…………ベネットちゃん?」
「ヒィッ!? なんか陛下が子犬からケルベロスに進化したでやんすっ!?」
「覚悟は……いいですね?」
「ぎぇぇぇぇっあがぼらべらぁぁぁぁっ!?」

 ベネットの悲鳴を、アルは怯えながら聞いていた。
 とりあえず、ピアニィの作戦は今日も失敗である。

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お題提供:TOY様