Ganglord (Morrissey/Alain Whyte)
 ギャングロード
ギャングロード
警官達は
私の家を蹴破って
私を脅し
嘲り
奴らの法を犯すように仕向ける
ギャングロード
警官達は
私の家を蹴破って
私を脅し
嘲り
奴らの法を犯すように仕向ける

だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ
だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ

ギャングロード
警官達は
私を地べたに擦りつける
無法者集団が
舞い戻り
小さな子供が悪戯に銃の弾を込める

ギャングロード
警官達は
私を地べたに擦りつる
無法者集団が
舞い戻り
小さな子供が悪戯に銃の弾を込める

だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ
だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ 助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ

ギャングロード
壁掛け時計があって
私達みんなを笑い者にする
ギャングロード
壁掛け時計が
私達みんなを笑い者にする

だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ
だから あんたを頼りにしているんだ
助けてくれよ 助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ
助けくれよ

ギャングロード
覚えておいてくれ
警官は賄賂を要求し放題
ギャングロード
覚えておいてくれ
警官は賄賂を要求し放題

奴らは「お前達を守ってやる為だ」と言うけれど
本当に腹の中で言ってることは
ゲットーに戻れ
ゲットーに
ゲットーに戻れ
ゲットーに
ゲットーに失せろ
ゲットーに
ゲットーに失せろ
ゲットーに
ゲットーに失せろ


・Ganglord
 直訳すればギャングの大親分。

 「任侠」という言葉がある。弱きを助け、強きを挫く、義に生きる人々を任侠と言った。例えば、権力が民衆を痛めつける時に、それに楯突き弱き民衆を守るのが本来の意での任侠であり、組織化した任侠が「やくざ」と呼ばれた。彼らは権力の側から見れば犯罪者であるが、虐げられた者から見れば救世主である。(※かつての任侠と、現在のやくざ、暴力団は全く違う性質を持つに至ってしまったことはご存知の通り)。

 西欧社会に任侠といった考え方が存在するのかは知らないが、「Ganglord」でも警察権力に虐げられた人々が助けを求めるのは、文字通りギャングの親分である。
 この歌は昔の任侠映画を思わせるロマンティックさを感じさせる一方で、同時にギャングの親分くらいしか助けを求める相手がいないという、虐げられた人達の立場の苦しさにも目も向けさせる。

 楽曲に耳を向けると、イントロ部分や、モリシーが「get back to the ghetto」と歌う後ろでとても美しいギターの反復旋律が聴こえる。曲だけに集中して聴いていると、非常に線の細いメロディで、この曲によくこの詞をつけたなと、改めてモリシーのセンスに感じ入る(但し、スタジオ版はややエフェクトの類がうるさく感じるので、曲の美しさを聴き取るにはライブ版の方が良いだろう)。

 モリシーは06年12月のウェンブリー・アリーナ(ロンドン)公演で、この歌を警察の誤射によって死亡したジェアンシャルレス・ジメネゼスさんに捧げた。
 "I know I will pronounce his name wrong but you know who I mean when I say this next song is dedicated with love to Jean Charles de Menezes"

・ロンドン同時テロとブラジル人青年誤射事件
 2005年7月7日、首都ロンドンの地下鉄3駅がほぼ同時に爆破され、約1時間後にはバスが爆破された。実行犯4名を含む56人が死亡。同月21日に再び鉄道駅・バスで爆破未遂事件があったが死者は出なかった。

 そして翌22日、地下鉄ストックウィル駅構内でブラジル人青年ジェアンシャルレス・ジメネゼスさんが自爆テロ容疑者と誤認され、捜査官二人に射殺された。ジメネゼスさんはテロ組織とは全く関係ない電気技師であった。

 当初警察側は、ジメネゼスさんが夏にも関わらず分厚いコートを着ていたこと、制止を振り切り逃走、抵抗したため発砲したとする報道を事実上黙認していたが、後に目撃者の証言や防犯ビデオの画像から判明した事実は、それとは全く違ったものだった。同様に暴露された警察の内部報告書にも当初の報道とは全く異なる状況が書かれていた。

 まず、実際にジメネゼスさんが着ていたのは(内側に爆弾を隠せないような)普通のデニムジャケットであり、電車に乗り遅れないためかやや小走りに改札を抜けたに過ぎず、特に不審な様子は見られなかった。また滞在ビザが期限切れだったため、彼が故意に捜査官を避けたのでは?との推測もあったが、誤射した捜査官らは私服であり、本当に制止の声をかけたのかどうかさえ疑わしいとする証言もある。
 しかし一番重要なのは、捜査官らは電車の座席に静かに着席していた丸腰のジメネゼスさんの頭部に7発もの銃弾を撃ち込んだ点だ。これが果して「誤射の範囲内」と言えるのか?

 同年9月19日、カタールの衛星テレビ、アル・ジャジーラが、アル・カーイダ幹部アイマン・ザワヒリ容疑者のものとされる犯行声明ビデオを放映した。

 2006年12月14日、事件に関与した捜査官らの不起訴処分に不服申し立てをした遺族の訴えが退けられる。

 2007年11月1日、ロンドン中央裁判所はロンドン警視庁を「衛生安全法」に違反しとして罰金17万5000ポンド(約4170万円)と、訴訟費用38万5000ポンド(約9170万円)の支払いを命じた。また、英警察苦情処理独立委員会(IPCC)により捜査を妨害したとの報告がなされたイアン・ブレア警視総監に至っても未だ在任中である(現在2008年1月時点)。

収録アルバム
基本的にオリジナル・アルバムのみの記載です。
アルバム未収録曲に限りベスト盤等を記載します。

・The Youngest Was The Most Loved [Single US CD1] B-side収録