The Never Played Symphonies (Morrissey/Alain Whyte)
 ネヴァー・プレイド・シンフォニーズ
死の床から思いを巡らしながら
僕は生の豊かさと
対する落とし穴を勘定している

退屈で灰色な年月の狭間で
僕に見えるのは 決して寄り添わない
決して奏でられない
シンフォニーだけ

僕を愛そうとしてくれた人達
あるいは 僕を理解したと感じた人達のことは
見えない

とても辛抱強く
僕を我慢してくれた人達のことは
見えない

僕に見えるのは 決して寄り添わない
決して奏でられない
シンフォニーだけ

それは君だった
君はそうなるつもりだった
だから 僕の前に飛び出て
笑い、この頬にキスをして
そうしてから いなくなった
永遠に、
でもないけれど

昼の真っ暗な空
死ぬことは何でもない
気にかけることは
これ以上
ひとつも残っていないから

あるのは 決して寄り添わない
決して奏でられない
シンフォニーだけ

それは君だった
君は分かっていながら
僕の指をすり抜けて行った
いや、文字通りではなく
比喩として
そして今 僕に見えるのは君だけ
消えていく光の中で
消えていく光の中で


『"僕"は死の床で人生を反芻する。自分のことを愛してくれようとした人達も、気遣ってくれた人達もいた。しかし、本当に自分と分かり合える人はいなかった。今はもう、その人達の顔を思い出すこともない。それは、まるで書いてはみたものの、結局は演奏されない曲(シンフォニー)だけが積み重なっていくような人生だった。

 けれど、僕にも人生のシンフォニーを奏でてくれそうな人が一人、いたことはいたのだ。僕の前に現れて、微笑んで、頬にキスをしてくれた"君"。そうやって、思わせぶりな仕草をしながらも、やはり君は去って行った。僕と一曲のシンフォニーを奏でることもなく。 そして今、死を目前にした最後の最後に、僕の心に浮かぶのは、去って行った君だけなのだ』


 ""」というのは人であるかもしれないし、あるいは「運命」「才能」「好機」や「愛」といった何かかもしれない。

収録アルバム
基本的にオリジナル・アルバムのみの記載です。
アルバム未収録曲に限りベスト盤等を記載します。

You Are The Quarry (Delux ED)