1. Now My Heart Is Full
2. Spring-Heeled Jim
3. Billy Budd
4. Hold on to Your Friends
5. More You Ignore Me, the Closer I Get
6. Why Don't You Find Out for Yourself
|
|
7. I Am Hated for Loving
8. Lifeguard Sleeping, Girl Drowning
9. Used to Be a Sweet Boy
10. Lazy Sunbathers
11. Speedway
|
■
前作Your Arsenalがフィジカル(肉感的)な作品なら、こちらはメンタル(精神的)だ。耳に心地よい楽曲を従えながらも、驚くほどダークな世界観が展開するモリシー・ワールドの傑作。
作曲は前回に引き続きアラン・ホワイトと、やはりモリシー・バンドのギタリストで、ネオロカビリー・バンドPolecatsのメンバーでもあるボズ・ブーラーが担当。
深みのある、心に沁み入るようなアルバムの雰囲気を決定付けたのは、ボズの楽曲の功績が大きい。彼の曲は、とても「物語的」だ。特にギター・リフは、それ自体が曲の世界観を構成する言葉を紡いでいるかのように聴こえる。
こういったボズ曲の特性があってこそ、"Now My Heart Is Full" "More You Ignore Me, the Closer I Get" "Speedway"の、非常にドラマチックな歌詞が誕生したのではないかと思う。
またアラン作の"Billy Budd" "Why Don't You Find Out for Yourself"といったギター・ポップで、アルバム全体が深みに沈み過ぎるのを上手く回避してもいる。
ソロ最高傑作として挙げられることも多い今作。The Smithsに最も近いと表現されることもあるが、私個人の印象としては、The Smithsの匂いは感じない。年齢と共に成熟したモリシーの声と豊かな詞世界、前作より曲幅の広がったアラン、そしてボズの独特なメロディが楽しめる作品だ。