Heavenly blue



今日はトクベツな日だから
ずっとおれの側にいて。



進藤はそう言って甘えるようにぼくの腕を掴んだ。


今日はどこへも行きたくない
今日は何も見たくない。


誰とも話をしたくないからと電話のコードを抜いて、携帯の電源も切ってしまう。



おまえだけ欲しい。
おまえはどこにも行かないで。




駄々っ子のように繰り返す、それは毎年繰り返されることで、だからぼくはいつも
この日、絶対に何の予定も入れない。




なあ、空は青い?
青いよと言うと、そうとつぶやく。


だったら寂しくないかなと、そう言うキミの背中はとても寂しくて、失くしたものの大
きさについて考えてしまう。





塔矢、大好き。ずっとおれの側に居てね。



そう言うキミはまるで子どものようにたよりなく。
いつかその痛みにぼくも触れることができればいいとそう思う。





大好き、塔矢。



ぴたりと締め切った窓の外。
悲しいくらいに青い空をながめながら、彼の体を一日ずっと抱きしめる。






それが





ぼくの五月五日。










Nervous  Venus


ぼくたちはいつも手をつないで眠る。

それはキミが寂しがりで

そうしていないとぼくが逃げるとでも思っているようだから。


ぼくはどこにも行かないと
ずっと側にいるよと



何度言っても不安そうに、行為の後、手はぼくを求めて彷徨う。


ガキみたいでごめんと
そんなことで謝らなくていいから



せめて、安心して眠って欲しいとそう思う。


キミの悲しみはぼくにはまだ癒せない
何があったのかもぼくはまだ知らない



いつになったら分けてもらえるのかわからない「いつか」を
ただひたすらに待ちながら



泣きもしないキミの代わりに


ぼくはいつも闇の中


暖かい指に口づけながら


一人、泣いてしまうのだった。