special season



蒸し暑い夜が無くなって、頬に当たる風が涼しくなって来るとああそろそろだな
と思う。


「…なんかおまえこの頃機嫌いい?」
「いや?  別に普通だけど」
「でもなんか」


すごく嬉しそうな顔してるけどと言われて頬をそっと押さえる。

「気のせいじゃないか? 特別何かあったわけでも無いし」

普通だよと言いながら危ないと思う。

(そんなに顔に出てるなんて…)

我ながら修行が足りないとそう思う。




歩く道の途中、秋の花を見つけて嬉しくなり、鳴く虫の声にまた嬉しくなる。

「…もうすぐだ」


カレンダーを破り、9月に入るともう知らず顔が緩んでしまう。

心の中だけでそっと印をつけた箇所。


9月20日。

(進藤の誕生日――)

毎年毎年、この日が来るのが奇跡のようで信じられない。


彼が生まれてぼくと出会い、いつもぼくの側に居る。


「Happy birthday……」

呟いて一人で赤くなる。


生まれて来てくれてありがとう。

ぼくを好きになってくれてありがとう。

キミがこの世に居てくれることがぼくにとっては掛け替えのない幸せだから。

「Happy birthday、進藤……」

キミのことが大好きだよと噛みしめるように思う。


大好きな、大好きなキミが生まれた季節だからぼくは秋が大好きで、9月という
月が幸せで幸せでたまりません。






2009.9.20 しょうこ



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