幸せなスタート
「今年はじめてのおまえの体」 風呂から上がり、ベッドの縁に腰掛けて、まだ濡れている髪を拭いていたら 寝そべっていた進藤が、そう言ってそっとぼくの背に触れた。 「柔らかい」 柔らかくて気持ち良いと言われて微笑む。 「キミも…キミの体も今年初めてだ」 タオルを置いて進藤の胸に触れると、ひんやりと冷えたその肌がびくりと動 いた。 「おまえの手、温かい」 「キミの肌も気持ち良いよ」 風呂上がりだから、少し冷たくて気持ちいいと言ったら進藤もふっと笑った。 「なんだよ、じゃあおれ達どっちも相手にとって気持ちがいいんじゃん」 「そうだよ、今頃気づいたか」 見つめ合い、微笑みあってそれから抱きしめ合う。 「ぼく達はずっと、ずっといつだって」 お互いにとってとても気持ち良い存在だよと、言いながらキスをしたら、進藤 もぼくにキスを返してくれた。 「…おまえのキス、気持ちがいい」 「キミのキスもね」 たまらなく幸せでたまらなく気持ちがいいよと、そして何度も繰り返し口づけ て、その幸せに笑った。 幸せで、幸せで、どうしようもない程幸せな―。 これがぼく達の新しい年の始まり。 |