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ランク タイトル 著者名 出版社 文庫名 出版年 価格 主要人物1 主要人物2 主要年代及び派閥 分類
サブタイトル・目次及び内容・感想
沖田の容貌・性格 土方の容貌・性格
土方からの沖田象・沖田への態度 沖田からの土方象・土方への態度
☆2 幕末袖がらみ 東郷 隆/著 文芸春秋 1998.07 1,714 土方歳三 近藤勇 新撰組 小説
幕末袖がらみ [武洲足立郡六道橋]慶応4年3月、五兵衛新田対陣中に土方歳三が隊士に命じた足立郡の殺人、[私談 流山始末]明治になって流行った速記録の有馬藤太の遺談を交え、慶応4年4月より流山での近藤勇の捕縛、ほか全8編
[武洲足立郡六道橋]「頭は山伏のような総髪」「面長で色白の好男子」
☆2 あさぎ色の風 藤堂 夏央/著 集英社 集英社コバルト文庫 2003.10 419 沖田総司 土方歳三 新撰組 小説
あさぎ色の風 [禍津日の影]文久2年春〜7月、総司の出稽古に一緒に行ったり、麻疹に罹った総司を看病する土方さん、[中空に恋はすまじ]文久1年秋吉原田圃の大喧嘩、[猛虎襲来]万延2年虎を見に行って原田と出会う、[陽のあたる場所]文久2年暮れ浪士組募集〜上洛前まで、全4編。
[中空に恋はすまじ]斎藤(たぶん)が登場、思わず斎藤×土方? と思っちゃいました、[猛虎襲来]こっちは原田×沖田? と思っちゃいました。 [陽のあたる場所]総司にとっての陽のあたる場所とは、土方さんの傍らだと自覚する話です。伊庭も登場。
コバルト文庫で、確か帯にはボーイズラブのような文が、載っていたはずですが「?」です。どこが? って感じです。中心人物は、総司と土方さん。くっつくならさっさとくっついてよ、といったところでしょうか。続きもあるようなので、期待は大ですね。
「その点、同じ天才でも、総司は淡白なもの(伊庭と比較しての色事に関して)」「こいつは取り残されることを、ひどく嫌うのだ。常にみんなの中心にいたがる。それは人気者になりたいとか、注目されたいとか、そういう願望によるものではなく、単に独りになることを嫌がっているようだった」「怒ったり、泣きそうになったり、拗ねたり。むしろ直情径行と言ってもいいくらいだ」「お調子者」「邪気のない笑み」「食い物もそうだが、人間の好き嫌いも人一倍、激しいくせに」「天真爛漫なように見えて、上の者の顔色を読むことには長けている」 「色が白く、すらりとした体型だし、端整な顔立ちで、愛想もいい。役者のような色男だと、よく言われているのだから」「優男に見えるが、本当は負けず嫌いで喧嘩好きの、気性の激しい人」「人一倍、冷静そうに見えるくせに、その実、血の気が多い」「眦を吊り上げると、凄味のようなものが漂った。日頃は女たちを夢中にさせる甘い容貌が、打って変わって不敵なものになる」「暑いのが苦手」「まじないだの辻占だのの類は、いっさい信じない人」「勇さんと源さん、そして総司。生来、疑い深いタチの俺が、身内以外で無条件に信じられる相手は、同じ流派の剣を学び、同じ釜の飯を食った、この三人だけだった」「生来の負けん気と、見栄っ張りな性分」「滅多なことでは他人に気を許さない」
「弟みたいなもので、何だかんだとかまったり、連れまわしたりしている」「いつか俺が描くだろう夢の中には、必ずおまえがいるということだ。夢も希望も成功も、俺はすべてを、お前と共有したいと思っているのだ」「本当に小憎らしいヤツ」「今までずっと一緒だったんだ。これからも俺のそばにいてくれ」 「僕が彼に親近感を覚えるのは、境遇のせいもあるかもしれない」「近藤先生が父、土方さんが兄のような存在」「目を輝かせて持論を語る土方さんを見る度、だから僕はこの人が好きなんだよなあ、自覚する。誰よりも強く、そして自由で柔軟な心に、僕は惹かれてやまないのだ」「僕のために、彼に嘘をつかせたくはない。そして、たとえそれが僕を気遣ってのことであるとしても、彼にだけは嘘をつかれたくないから……」「僕にとっては、この人の傍らこそが、陽の当たる場所なのだと−」
☆2 あさぎ色の風 -きざはし- 藤堂 夏央/著 集英社 集英社コバルト文庫 2004.01 476 沖田総司 土方歳三 新撰組 小説
あさぎ色の風─きざはし─ [第5話・誰がための剣]文久1年1月、総司と伊庭の喧嘩、[第6話・旧知の狐、未知の鬼]浪士組出立の時と、清河との出会いの試斬会の話、[第7話・もろびと集いて]中仙道の道中と浪士組帰郷、[番外編・常世の闇]総司に似た隊士が入隊し、その隊士の衆道絡み話、全4編
[第5話・誰がための剣][第6話・旧知の狐、未知の鬼]には、伊庭も登場。[番外編・常世の闇]では総司に恋する隊士を振るために、総司は土方さんを念友だと言っちゃいます。
「その眼光の鋭さと冷ややかさに、総毛立つような畏怖を感じた」「真剣を構えた総司から漂ってきたものは、凍りつくような冷気。その禍々しい冷たさが気になった」「いつも冗談ばかり言っている」 「とちらも(土方と伊庭)眉目秀麗だし、優男に見えながら、実は気性が激しくて腕も立つし、新しいものが好きだし、ついでに艶聞も多いし」「もとが端正な美貌なだけに、冷たく歪むと凄艶な雰囲気を醸し出す」「何かにつけて器用だし、美男子で艶聞には事欠かない。頭が切れて常に冷静だ。さらに剣も強いが、それ以上に精神力が強く、自分にも他人にも厳しい人だった」
「もうとっくに二十歳も過ぎているというのに、色事の機微を理解できないとは、いつまでも子供で困ったヤツだ。そんな総司の純粋さをこそ、俺や勇さんは可愛がっているのだが、しかし、俺や勇さんは可愛がっているのだが、しかし俺は時々、大事にしてやりたいと思う一方で、無性にあいつを汚してみたくもなってしまう。純白の雪の冷たい美しさに苛立ち、いっそ踏み荒らしてしまいたいと思うのは、すでに汚れきっている者の救い難いサガだろうか」「ただ、俺が生理的に受けつけない人間を、勇さんや総司が好いているというのが、どうにも不愉快だった。我侭だと、わかってはいるのだが」「俺はどうも総司には弱いらしい」「誰よりも大切な二人(総司と近藤)」「そもそも俺には、こいつを「使う」などと言う発想は無かった。もしも俺が、手柄を立てて成り上がり、何らかの権力を得たとしても。総司には右腕でも腹心でもなく、「相棒」であってくれることを望むだろう。ただ従えたいだけの相手ではないのだ」 「がさつで気が短くて横柄で、でも不器用な思いやりをくれる人」「この人のために役立てたいと、あらためて思う。(中略)ただこの人を守るために。あるいは、この人の夢を叶えるためだけに」「普段、良識とは無縁な人」「『……私はね、あなたと近藤先生のためなら、何でもできるんです。(中略)それより土方さんに、そんな申し訳なさそうな顔をされる方が、よほどきついですよ。だいたい殊勝な態度なんて、あなたには似合わないんですからね。あなたは、よけいな気をまわさずに、傲然としていればいいんです』」
☆2 あさぎ色の風 -くれない- 藤堂 夏央/著 集英社 コバルト文庫 2004.08 480 新撰組 小説
あさぎ色の風―くれない 文久3年4月〜芹沢暗殺
☆3 あさぎ色の風 -たまゆら- 藤堂 夏央/著 集英社 コバルト文庫 2004.11 460 新撰組 小説
あさぎ色の風―たまゆら 池田屋事件前後。
総司が池田屋で倒れて、それに取り乱す土方さんが、ツボです。
「凛々しい顔」
「いつも冗談ばかり言ってる陽気な奴なのに、時々その笑顔や無邪気な声に、もの淋しさを感じることがある」「いつまでも子供っぽさが抜けきらない」「こと剣に関する限り、あいつには容赦がない」「局長の近藤勇先生や、鬼副長こと土方歳三のさんの目には、僕はいまだ少年のように映っているらしい。まるで父や兄のごとく、世話を焼いてくれるのだ」 「不言実行を旨とする武闘派」「不敵な笑みを浮かべ、清冽な眼差しで僕を見つめている人」「ことあるごとに僕を子ども扱いするけれど、この人自身、悪餓鬼のまま大人になったようなものなのだ」
☆3 あさぎ色の風−とこしえ− 藤堂 夏央/著 集英社 コバルト文庫 2005.01 460 新撰組 小説
とこしえ ―あさぎ色の風 元治2年山南切腹〜病死。
この五巻は、ちょっと、急展開過ぎですね。それが残念な気がします。
ふっふっふっ、土方さんが意識のない総司に薬を口移しで飲ませるシーンがあります! それだけで、幸せ〜〜v
「筆まめな方ではない。むしろ筆不精である」「相変わらず、僕は人に嫌われるのが怖かった。独りぼっちになるのが嫌だった。だから誰にでも『いい顔』をしてしまうのかもしれない」 「言葉より行動を重んじる」
「どうもこいつは、勇さんや俺たちの役に立とうとして、必死になりすぎている嫌いがある。まるで、誰かの役に立てなければ、自分の価値や居場所がないという、強迫観念にでも駆られているかのようだ」「俺は絶対に、お前の手を離してはやらない」「こいつは俺の弟みたいなものなんです。いや、本当の兄弟より大事な相手だ」「こいつの死に様を見届ける覚悟など、できそうにない」 「汚い真似をしている時でさえ、彼の潔さは霞むことなく、むしろ凛として輝いているように見えた。(中略)私利私欲とは無縁だからか。それとも、正義でも悪でもかまわないほど、ただ単に、僕が彼に惹かれているせいなのか」「この人のそばにいたいだけ」
☆2 異説新撰組 童門 冬二/著 東都書房 東都ミステリー 1964.02 250 沖田総司 近藤勇 新撰組 小説
『沖田総司血涙録』の改題前。
☆1 維新前夜 童門 冬二/著 講談社 1997.03 1,648 近藤勇 幕末 小説
維新前夜 [中座の達人-桂小五郎]安東対馬守暗殺・池田屋事変・禁門の変、[幻の甲府城主-近藤勇]近藤の一国一城の夢を慶喜と家臣一同が実現させようとして失敗、他全5編
[幻の甲府城主-近藤勇]「気の弱い人間」「色白で、柔和な顔をしたいい男」
☆2 沖田総司血涙録 童門 冬二/著 新人物往来社 1977.08 980 沖田総司 近藤勇 新撰組 小説
『異説新撰組』の改題後。
『新撰組一番隊』の姉妹編。京直前〜斬首。近藤主役。生糸に絡んで、竜馬暗殺が新撰組の密命だが果たせず、しかしそれが近藤斬首の原因。
☆1 小説近藤勇 童門 冬二/著 潮出版社 2003.11 1,500 近藤勇 新撰組 小説
小説 近藤勇 慶応4年4月近藤の捕縛後〜斬首。上洛前からの回想がある。
近藤と土方が同じ部屋で寝ていて「へっ」と驚きました。文章が現代的過ぎて軽い。
「いつもにこにこ笑っている」「ひょうきん者」「愛想のいい彼は、怒りを面に出すことはなかなかしない。若いくせに、年よりじみた分別があって、そういうわれを忘れた感情を極力押さえ込む」 「余計な口は利かない方だから、無駄な言葉は吐かない」「芯の強い男」
☆2 新撰組の女たち 童門 冬二/著 朝日新聞社 1982.04 980 沖田総司 新撰組 小説
[はじめての祗園会]美男五人衆、[子守娘と嵯峨の竹林]総司を慕う子守娘、[くちなしの花と抜け路地]お梅とあぐり、[大文字と勤皇芸者]8・18の政変と幾松、[地蔵盆と島原]田内知の女、[京べんとうと萩の花]芹沢暗殺直後・古高捕縛・松原の女、[鷺知らずと京女の立小便]池田屋事変・桂と仲居、[遠い出石の船灯籠]禁門の変後の桂を追う、桂の出石の女と幾松、[水のまち伏見のかわたれどき]山南と明里・武田のおべっか、[来ぬ春を湖南の寺で待ちにけり]山南の脱走、[むらさき匂う多摩の里]近藤の東下とツネ、[長州女の大合唱 男なら]長州訊問使派遣と長州の女、[恋に死んだ四番隊]田内の切腹・松原の心中、[うぐいすの中宿に棲む老尼]蓮月尼、[原田まさ子と坂本お龍]松本良順の診察・まさ子とお龍は幼馴染、[落日の西山と娘諜者]密偵と山崎に惚れたその娘、[鳥羽と伏見に冬の雷]それぞれの女たちとの別れ、[さらば いとしの壬生浪たちよ]隊士たちの最後を明治22年の回想で、全18編
文久3年〜病没。
「澄んだ眼」 「役者のような柔和な顔」
「弟のようなもの」
☆3 新撰組一番隊 童門 冬二/著 新人物往来社 1974.07 2,200 沖田総司 新撰組 小説
文久3年京都〜池田屋後。元京都町奉行所同心が主人公で、元上司の娘が佐々木只三郎の妾。架空の一番隊永倉・斎藤などそうそうたるメンバー。中川宮と慶喜が主人公ぐるみの新撰組つぶしを画策。
「世にスネたり、さからったりするような虚無の影はない」「薄黒い顔」「長身」「品性は上等である。それも大変に上等である」「よくとおる声」 「ものごとを遠まわしにいう男」「役者のような柔和な顔」「するどく、きびしい目をした」「まけおしみのつよい」
☆2 土方歳三(物語と史蹟をたずねて) 童門 冬二/著 成美堂出版 成美文庫 1985.11 543 土方歳三 新撰組 小説
小説+ガイドブック。文久2年夏〜五稜郭。土方の心の支えが家茂。総司と家茂のお迎え。
「たいへん明朗な青年で、冗談がうまく、よく人を笑わせた」 「美男だからだ。色が白い。目がやさしい。それに、けっこう道楽をしているので、人間通だ。人の気持ちがよくわかる。だからめったに怒らない。いつもにこにこしている。そして、始終面白いこちを言う。冗談がうまい」
「いつも明るく冗談を絶やさない。ひがんだり、ぐちっぽくなったりすることはけっしてなかた。そういう沖田が好きだった」「この総司のおもかげをだいて最後まで戦い抜く」 「変わらない歳さんの温か味に目をうるませた」
☆2 夜明け前の女たち 童門 冬二/著 講談社 1997.10 2,300 蓮月尼 幕末 小説
夜明け前の女たち 文久2年11月〜元治1年池田屋事変。竜馬や寺田屋の女たちが、若い過激派の志士たちを温存するために、蝦夷移住を計画するが、池田屋事変で頓挫。
「人間通」 「鬼のような性格」「カミソリのように鋭い」
☆2 竜馬暗殺集団
童門 冬二/著 春陽堂書店 春陽文庫 1996.05 440 沖田総司 近藤勇 新撰組 小説
『異説新撰組』の改題後。
☆3 箱館売ります -幕末ガルトネル事件異聞- 富樫 倫太郎/著 実業之日本社 2004.05 1,900 土方歳三 箱館戦争 小説
箱館売ります―幕末ガルトネル事件異聞 明治1年10月〜五稜郭。
実際にあったガルトネル事件(プロシア人租借地に関する)を題材にしたもの。プロシア人ガルトネルの背後にロシア秘密警察がおり、租借地を手始めに蝦夷をロシアのものにしようとする魂胆で、それを阻止しようと土方さんが計画実行する。
伊庭の名前も1度出る。大鳥は土方さんが嫌いです。土方さんは、榎本を見て、近藤さんを思い出します(笑)。総司の名前は3度、土方さんが語るだけ、淋しいな〜。でも、話は面白いです。
「色白の顔(中略)切れ長の目」「愛想がないのも、無口なのも昔からの性分」「極めつけの現実主義者」「生の感情を露骨に表すほど、土方歳三は素直でもなく、初でもない」「神経の細かい人」「茶碗に盛られた飯を、土方は、まるで女性のように上品に食べ」「不器用な男」「新選組時代から幾度となく血なまぐさい修羅場をくぐり、自分の命というものを、どこかに置き忘れてきたような無関心な目で眺められる男」
「近藤や沖田と一緒になって自分たちの好き勝手ができることが楽しくてな」
☆2 仇討ち遺聞
戸川 幸夫/著 PHP研究所 PHP文庫 1989.06 420 新撰組 小説
[維新の狐(パークス)]薩長の勢力に英仏両国の勢力争い、[近藤と土方『侍志願』][腹『侍志願』]ほか全6編
☆2 侍志願 戸川 幸夫/著 人物往来社 歴史小説選書6 1967.03 390 新撰組 小説
[小栗上野の死][霜の朝(江戸騒擾)]、[腹(柴司/明保野亭事件)]総司も出るが柴司が斬った相手土佐藩士は切腹してなっかたというオチ、[近藤と土方]古高拷問から池田屋へ行くまで、[あしあと記(戊辰戦争回想)][侍志願(戊辰戦争)]全6編。
[あしあと記]と[侍志願]とはリンクして、新撰組も登場。
[近藤と土方]「色の白い、どちらかというと病的に青くさえ見える皮膚の色で、近藤とはまったく反対に鼻すじの通った美貌」「切れ長の目が執念ぶかそう」
☆3 武豪列伝 戸川 幸夫/著 大日本雄弁会講談社 ロマン・ブックス 1956.12 140 沖田総司 新撰組 小説
[服部三郎兵衛]伊東甲子太郎入隊〜油小路事件、[沖田総司]芹沢暗殺後〜病没、療養先の医者の娘と仄かな恋、その娘は総司と別れた後同じ病で先に死ぬ。油小路事件の時は、総司は大阪で養生中、ほか全12編
[沖田総司]「五尺七寸の長身」「はにかんだ笑いを浮かべた浅黒い顔には二十歳そこそこの若者らしい稚さがあった」 [服部三郎兵衛]「色白で切れ長の目、唇の薄い顔つきの、なかなかの美男子だが、その瞳の底には何か冷たい、、キラリト光る残忍な光りが走っていて、油断のならない人物という感じ」[沖田総司]「癖の皮肉めいた口調」
☆3 佐幕派新撰組 戸塚 淳/著 新人物往来社 1975.08 1,200 新撰組 小説
文久3年1月〜。斎藤は土方の金を狙うが、負けて家来にして貰い試衛館に出入り。芹沢は暗殺でなく詰め腹。油小路で総司と藤堂の一騎打ち。植木屋平五郎は元は試衛館に剣術を習っていた。原田は甲州で戦死。流山での別れに土方は近藤に泣きつく。総司は医者の娘と所帯を持つが、総司の労咳が娘に移る。
「背が高く肩の張りあがったかなり目立つ体形であるうえに、顔色が黒い」「決して美男子とはいえないが、見る人には威圧感やいや味を少しも与えない穏やかな顔である。気取らない明るい性格とあいまって、安心して近づけるふんい気を漂わせている」「天才的でひどくにぎやかな剣術」「天真爛漫」「物事にこだわらない淡白な性格」 「負けずぎらい」「ひどい気取り屋」「役者にしたいような顔立ち」「取り越し苦労をするほど疑り深い」
「よほど子どもに見えるらしく、つい子どもをからかうような言い方をする。からかってはいても弟のない末子の歳三には、総司が実の弟のように可愛くてしかたがないのである」「総司は星になれ(=新撰組の星)」「沖田の恋愛を自分のことのように喜び、仲間ともども祝福してやろうと働きかけてくれた。やっと坊やも大人になったか、土方は込み上げてくる笑いについ口元がゆるむのだった」 「表面上は冷たい男と評されるほど感情を抑えているが、胸の中では誰よりも感じやすい繊細な神経が働いている。感情の起伏が普通の人間よりも激しいためにそれをすなおに態度に表すことができず、かえって表情のない冷たさを印象づけているのかもしれない。そんなふうに考えてくると、沖田は土方が哀れに思えてきた。同時にすねたところが可愛くも思えてきた」、近藤「案外、寂しがり屋」
☆3 総司はひとり -血風・新選組- 戸部 新十郎/著 中央公論新社 中公文庫 2002.09 686 沖田総司 新撰組 小説
総司はひとり 試衛館〜山南脱走(病没)。敵の親子と敵討ちの姉弟と関わりを持つ、弟は総司にそっくりで、娘に恋心。
「短気の気長者」「人をけなすことを知らないかわり、羨むことも知らない」「唇が赤い」「顔色はいくぶん蒼いが、もともと血色がいいという性ではない。梳櫛を当てた髪に映えて、それはむしろ妖しい美しさといっていい」 「色白端麗だが、きかぬげのその歳三の眼差し」「きらきら輝く眼」「むしろ華奢と見える背」
「淡白さを知っている」 「存外、照れ屋」
☆1 日本剣豪譚 維新篇
戸部 新十郎/著 毎日新聞社 1993.12 1,600 維新 小説
[武市瑞山と岡田以蔵][講武所 佐々木只三郎][中村半次郎 示現流][榊原鍵吉 直心影流][山岡鉄舟 無刀流]ほか全7編
[講武所 佐々木只三郎][中村半次郎 示現流][榊原鍵吉 直心影流]新撰組の名が1度づつぐらい出る、[山岡鉄舟 無刀流]清河八郎との関わりが書かれているので浪士募集された近藤らも出る
☆2 日本剣豪譚 幕末篇
戸部 新十郎/著 光文社 光文社文庫 1993.03 540 近藤勇 幕末 小説
[伊庭一門-心形刀流][近藤勇-天然理心流]、[河上彦斎][桂小五郎と坂本竜馬]新撰組の名が出る、ほか全9編
剣豪とその流派について。
「背丈が高く痩せており、肩をぐっと上がり気味に張って、頬骨高く、口が大きく、色は黒かったが、どこかこう、いうにいわれぬ愛嬌があり、病体ながらいつも元気で、冗談ばかりいっていた」 「女のように物優しい顔立ちで、如才ない愛嬌者であった」
☆3 忍法新選組 戸部 新十郎/著 光文社 光文社文庫 2004.07 667 新撰組 小説
忍法新選組 多岐流太郎のPNで、「特集ニュース特報」誌(昭和40年1月〜10月)に掲載。
万延1年3月2日井伊直弼の暗殺前夜〜池田屋。
幕末の騒乱に対し、各地の忍者たちが暗躍する。土方さんが井伊直弼の暗殺現場に出会ったり、永倉と吉村貫一郎が高杉晋作を横浜の遊郭で斬ろうとしたり、試衛館の8人にそれぞれ影の忍びがついたり、お梅が倒幕側の忍者だったりと、新撰組に上手く忍者が絡んでいます。
「朴訥な感じ」「血も滴るかと思われる紅唇」「痩身」「子供っぽい顔」「胸元に透けて見える胸板」「純真無垢な魂」「華やかで、鋭い剣刃」 「色白の若く端麗な横顔」「色白の女のような物優しい顔(中略)鮮紅の唇(中略)輝きすぎる双眸」「紅唇」「生来沈着な性」「不断の冷厳な性」「怜悧な双眸を、色白な肌に」「色白の優男の頭脳に秘める智謀」
☆2 秘剣 花車
戸部 新十郎/著 新潮社 1995.10 1,500 幕末 小説
[浮鳥(近藤周斎)]、[逆髪]新撰組の名前が出てくる、ほか全10編
☆3 秘剣 虎乱 戸部 新十郎/著 徳間書店 2000.11 1,600 小説
秘剣 虎乱 [坊捨]伊庭八郎が秘伝を死の間際に会得するまで、ほか全9編
☆2 秘剣 龍牙 戸部 新十郎/著 PHP研究所 1996.08 1,600 沖田総司 幕末 小説
秘剣 龍牙 [龍牙(白井亨)]、[芥子]練兵館の門弟・仏光寺弥助が主役で、総司が道場破りが来ると練兵館に助っ人を呼びにいくシーンがある、ほか全7編
7編中2編が幕末。
[芥子]「痩身で色浅黒いが、可憐な顔をいつもにこにこさせている」
☆1 明治剣客伝 -日本剣豪譚 戸部 新十郎/著 毎日新聞社 1994.05 1,600 幕末 小説
[警視庁時代][幕末剣客の明治]ほか全8編
[警視庁時代]渡辺昇の所で、試衛館に助太刀に行くの一言、[幕末剣客の明治]一部に伊庭想太郎・永倉新八・斎藤一のことが書かれている
☆4 壬生狼 -誠の抄 富川 幸/著 文芸社 2003.01 1,400 沖田総司 土方歳三 新撰組 小説
[牡丹華(土方歳三)]試衛館時代土方24歳総司15歳、おみつに恋心を抱いていたときもあり、北辰一刀流の坂本竜馬に総司の指南を願う、[父に名は佐久間象山(三浦啓之助)]明治10年に死んだ啓之助の妾が新撰組入隊の経緯から脱走までとその後を書いた書簡を見つけ読む、[凍った月(斎藤一)]慶応3年、高台寺党に密偵として潜入し油小路まで、[ある風の伝説(沖田総司)]慶応3年、総司に処刑された隊士の姉が、以前溺れたところを助けた少女の母で、沖田氏縁者、全4編
[牡丹華]「時々桶の底が抜けたような言動を平気でやる」「重厚な中に魔剣を誘いそうな怪しさを秘めていた」、[父に名は佐久間象山]「背の高い青年」「取り立てた特徴のある顔立ちではなく、色は浅黒く童顔で、女のように奇麗な肌をしていた。体格は細長く、張り出した両肩がやけに目立った」、[凍った月]「口が固い」 [牡丹華]「観察力は、その頃から彼独特の嗅覚を持っていた」、[父に名は佐久間象山]「色白で、役者の女形にさせたいような顔立ち」、[ある風の伝説]「どんなに無作法な仕草も、この男のかかると粋に見える。酒を帯びると一段と男っぷりが上がる」
[牡丹華]「一流の剣士にしたい」「彼の顔の変化を見るのが楽しかった」「お前は試衛館に必要な人間」、[父に名は佐久間象山]「兄弟以上の仲」、[凍った月]「絶対的な信頼を置いている」、[ある風の伝説]「相変わらず嘘が下手」 [牡丹華]「勇にはない歳三の匂いが好きだった。(中略)歳三は男にしては異常なほど神経質で乱れた髪を見たことがない。(中略)他の門人達とは全く違う馨しさだった。思春期の惣次郎には、彼の側に居るだけで、未知の世界への憧憬を膨らませた」

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