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歳三が総司と同居を始めて2週間が経つ。 同居をしてみると、やっぱり今までの生活の違いが浮き上がってくる。 もちろん、それまでにも総司の部屋には泊まった事もあり、一緒に過ごした時間もあったが、その時には気付かなかったことに気付かせられる。 例えば、食事の後には必ず歯を磨くとか。 なんでも、子供の頃からの習慣で、そうしないと気持ち悪いんだそうだ。 そんな一つ一つ新鮮な発見に目を輝かせつつ、日一日が過ぎていく。 歳三が転がり込んだ総司の部屋は、総司の親父さんの知り合いの学生専用のマンションだ。 一人部屋用と、ステイが可能な二人部屋用があって、総司は一人部屋用が空いていなかった事もあって、二人部屋用に住んでいたから、ちょうど上手い具合に親を説得して転がり込めた。 知り合いってことで、総司は一人部屋用の家賃しか払っていなかったそうだが、今は歳三もいることだしちゃんと払うようにしている。 それでも、他の入居者には内緒で割り引いて貰っているようだが。 さて、そんな部屋の間取りと言えば、玄関から真っ直ぐ短い廊下が正面にあって、その突き当りが居間兼食堂。 廊下の右側が台所で、左側が風呂と洗面所。 居間の左右に同じ作りのクローゼット付の部屋が一つずつ、という2DK。 だから、当然二人は別々に部屋を持っているわけで、ベッドもそれぞれに置いてある。 置いてはあるが、もっぱら使うのは総司の部屋にあるベッドばかりだ。 歳三はまだ一度も自分のベッドで寝たことがない。 総司と共に、総司の大きめのベッドで寝ている。 そうは言っても、毎晩総司と抱き合うわけではない。 いや、腕を回して抱き合って眠ることはあっても、総司を受け入れるわけではないと言う意味だ。 総司は時には遅くまでバイトをしているし、体の負担になるようなことはさせたくない。 もちろん、総司が求めてきたら、いつでも応えてやりたいとは思うが、ただ抱き合って体温を感じながら眠るだけでも、歳三には満たされるから充分なのだ。 そんな歳三が学校が始まるまで暇だし、バイトでもしようかと総司に言ったら、学校が始まれば慣れるまで大変だし、止めておいたほうがいいと言われて断念した。 無理押しするほどのことでもないし、短期のバイトが上手く見つからなかった所為もある。 それになにより、家で待っていてくれるのが何倍も嬉しい、と言われれば逆らう気になど到底なれぬではないか。 そんなわけで、歳三は総司の帰ってくるのを、新妻よろしく夜食の用意をして待っているのが日課になっていた。 自分でも、なんだかなぁ、と思わないわけではないが、総司の嬉しそうな顔を見れば、まぁいいか、と単純に思えるのだからしかたがない。 今日も今日とて、歳三は総司のために、胃に優しい野菜スープを作って、帰りを待ちわびていた。 そろそろ帰ってくる筈。 今はマンションの前辺りかと思い描きながら、スープを温めなおすために火にかけた歳三だった。 |
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タイトルは、ずばり! 新婚生活。 是非、二人には新婚生活のようにいちゃいちゃして貰わなくては、ね! |
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