三つ巴



「あっ! ああっ~~~、んっ!」
艶やかな声が辺りに響きます。
こうなった原因は、原田にありました。
原田が隠してあった南蛮のお菓子を、お菓子に目のない総司が見つけて一つ口の中に入れてしまったのです。
なんでお菓子で? と思う方もいるでしょうが、これが普通のお菓子ではなかったのです。
それはなんとお菓子の中に、これも南蛮渡りの薬が練り込まれていたからです。
その練り込まれていた薬は、今の状況を見れば一目瞭然。強力な媚薬でした。
原田がそんなお菓子を持っていた理由は、靡いてくれない惚れた相手に使おうとの魂胆だったのですが。
まぁ、そんなお菓子を食べてしまったものだから、さあ大変。
自分で慰めても静まらずに、かっかと火照る体を持て余していた総司でしたが、そこへ土方がやって来てしまいました。
いつもまとわりつく総司の姿が見えぬので、仕事の一区切りがついたところで気になってやって来たのですが、総司のあられもない姿を見せられては、理性も吹っ飛ぶと言うものです。
で、何戦も総司と重ねて眠り込んでしまったのは、前後不覚というものでした。
なにしろここは総司の部屋。ということは、斎藤の部屋でもあるからです。
気づいたときには胸にしっかりと抱えていた筈の総司が、斎藤に挑みかかられていました。
斎藤にしろ、恋敵の腕の中とはいえ、真っ裸で寝ている総司を見て理性が吹っ飛ぶなと言う方が、無理と言うものです。
なにせ斎藤も健全で勢力旺盛な、若い男なのですから。
しかも、情事の後なだけに、総司の色っぽいことといったら。
斎藤は、あっ、という間に着物を脱ぎ捨て、総司の後孔に押し入りました。
「あっ、やっ……!」
眠っていた総司はびっくりしたようですが、先ほどまで土方に蹂躙されていたそこは、咎めるでもなく斎藤を迎え入れてしまいました。
土方が散々精を放ち濡れている状態ですから、苦もなくあっさりと呑みこんでしまったのです。
「んんっ! あっ、んぅ――」
それどころか激しく貫かれると、静まっていた火種が再び燻り燃え広がっていきました。
土方があっけに取られている間に、総司は土方の体の上で身悶えてしまっています。
なにしろ薬で煽られていた総司が相手でしたので、普段数回で済むところその倍の回数もこなしてしまい、精を搾り取られたかのようで動くことが億劫になっていたのでした。
それでも土方は、何とか声を押し出しましたが、
「斎藤っ! てめえっ!」
斎藤はそんなことを聞いてはいません。
ここまでくれば、そんなに簡単に止められる訳がありません。
そして、土方の止めたい理性と裏腹に、斎藤に貫かれている総司の色っぽいことといったらありません。
なにしろ、普段見ることのかなわぬ構図です。
思わず魅入ってしまったとて、不思議ではありません。
疲労困憊していたのは総司も土方と同じはずですが、若い分回復も早いようで、それどころか再び燃え上がった快楽の炎を貪欲に貪っています。
土方との情交だけでは薬の効き目が切れなかったようですし、その薬の前には相手が土方でなく斎藤であることも気にならないようです。
なんだか、若いっていいなぁ、などとこんな状況にもかかわらず、しみじみ思ってしまった土方でありました。


斎藤が総司を突くたびに、ぐちゅぐちゅと、いやらしい音が聞こえ、それがさらに3人を煽り立てていきます。
こうなると理性より本能の方が打ち勝ってしまい、道徳とか倫理観とかどうでもよくなってきました。
とりあえず今は、そんなものはどっかに行ってしまっています。
極度の快感のため、総司の背中には人の姿のときは隠れている翼が広がり、快感に打ち震えていますし、斎藤の顔にも隼特有の文様が浮かび上がっておりますし、土方にも興奮している証拠に耳や鋭い爪が出ていました。
閉じきった部屋には濃密で淫らな空気が漂い、まさしく肉欲に溺れ爛れきった様相です。
三人での性交は退廃的で、それ故に劣情を大いに刺激され、
「んんっ! やぁっ……、も、っとぉ――」
と総司が腰を振りつつ強請れば、更にそれが掻きたてられるのは、男として当然のことでしょう。
また、快感ゆえに総司が真珠の如き涙をはらはらと零して啼けば、総司に恋する男たちは抗う術を持ちません。
ですから、感極まった甲高い総司の嬌声が屯所の中に夜通し響き、皆を寝不足の底へと叩き込んだのは言うまでもありません。
そして、元凶となった原田が、
「切腹だーー!!」
と、土方に怒鳴られるのは、また後の話でありました。




すみませーーん! つい薬に逃げてしまいましたー。
せっかくの3ピー! なのになぁ。私には手強かったです(泣)
二人の人間の相手をする淫乱総司と言うのは、どうも書けないようです。
一人相手なら、まだ大丈夫なのに(溜息)



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