日輪、耀く季



下界を見下ろせば、緑豊かな木々の合間に、一人の男の姿を捉えることができた。
太陽の恩恵を一身に浴びたかのような、日に焼けた小麦色の肌。
背の中ほどまである艶やかな長い黒髪を、きりりと纏め上げて風に揺れる。
筋骨逞しい大人の躯である。
暑さが苦手なのか、良く見る姿は諸肌脱ぎが多い。
太陽の日差しを燦燦と浴び、健康的な躯は太陽の神かと思えるほど。
惜しげもなく晒された肉体は肉付きが良く、いかに鍛えられているかが分かる。
故に、焦がれた。陽の下では、人の姿にはなれぬから。


青い澄んだ空を見上げれば、一羽の鷹が悠々と風に乗っているのが見えた。
天駆ける翼。
涯のない空を、自由気侭に飛び回る。
羽ばたく翼を持たぬ身には、妬ましく思えた。
しかし、ときおり木に止まって見下ろす鷹と視線が交じり合えば、言い知れぬ感情が湧き上がる。
この感情をなんと言うのか、歳三にはまだ名付けられなかった。


空を舞う鷹は、天覇の一族。
日輪が空に輝けし時には空の覇者・鷹として舞い、地に沈みし時は人形(ひとなり)の姿をして佇む。
この世には様々な一族があり、時には隔たり、時には交わり。
出会うこともあれば、別れることもあり。
そんな二つの種族が運命を分かち合うのは、いつの日のことか。
それは天のみが、知るのかもしれない。




ぐっふっふっ。(←壊れ気味)
とっても素敵な挿絵をいただいて、天にも昇る心地です。
実はこのお話は、赤目さまのとある絵に妄想を刺激されて、書かせていただいたものなのです。
本当に素敵な絵で、くらくらっとなったあげく、血迷って思わず妄想を書きた〜い、と叫んだ結果、こころよく快諾くださり、その上なんと挿絵を描いてくださることに!!
こんな短い駄文にまで、描いていただけました。
もう本当に素敵で、言葉にもならないぐらいでございます。
イメージしたとおりの絵と申すに過言ではございません!
皆様も、素敵な絵をご堪能くださいませ〜〜v



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