充分に慣らされ、ほぐされたはずなのに、いざそれを受け入れる段になると、つい身体が強張り、身構えてしまう。
 男は自分が逃げ腰にならぬようにがしりと手で固定しながらも、優しく中に入り込んでくる。それでも、幾度受け入れようとも、男の物で臓物を一杯に押し広げられる最初の苦痛は、敷布を握りしめ、奥歯を噛みしめながら耐えるしかなかった。
「辛いか?」
 やっとのことで首を振る。
「辛くなど、ない」
 男はさらにじわりと己を推し進めて来る。
「こんな細い腰で儂を受け入れてくれるおぬしが不憫でならぬ。一人儂の子でも産めば少しは楽になるかもしれぬのだがな」
「ふ……、巫山戯るな!」
「それだけ元気があれば、大丈夫か」
 男はもう手加減せずに、自分の身体をその部分で確認するかのように、行き来を始めた。男の両手は胴に巻き付き、鉄槌は身体の奥深くに打ち込まれ、もはや逃れることはかなわなかった。
 だが、こうしている間は、男はどこにも行かない。約束を違えて逃げていったりはしない。身体で繋がり、今確かに自分の中に男がいるという以上に、安心できるお互いの居場所があるだろうか。
 男をしっかり取り込みながら、あとは内部の敏感な一点への刺激が、すべての不快な感覚を押し流し、苦悶の呻きを歓喜のそれに変えてしまう瞬間を待っていればよいのだった。