「嘘だろ?」
「大マジ」
「そんな、知らなかった」
「テメェ、鈍すぎ」
「・・・あの、ゾロ、」
「おう」
「・・・おれも、その、ゾロ」
「知ってる」
指を重ねた。
おれたちは、近づいてゆく。
「次、上陸したら」
「ん?」
「こっちのマッサージな。」
「ぎゃっ、け、ケツ撫でんじゃねっ」
「おお、やっぱいいなあ、この感触」
「アホか!触んなってば」
ぽこぽこと殴りつける手は簡単にゾロの手の中に納まって。
そのまま指は、唇に触れた。
そして唇は、唇に触れた。
無骨なゾロの指と、頼りないおれの手と。
少しだけ素直な言葉を増やして、近づいてゆく。
「ゾロ」
「おう」
「お、おれ、初めてで」
「そりゃ光栄だ」
「上手くできっか、わかんねェけど」
「大丈夫だ、心配すんなウソップ」
「うん、できるだけ」
「おう」
「・・・・優しく、するから、な!」
「・・・・・・・・・・何?」
素直な言葉を少し増やす、触れる指にこめる想いが膨らんでゆくことは止めることなんか出来ないから。
それはそれはゆっくりと。
ゆっくりと近づいてゆく。
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