HOPE
‐傷と抱擁‐ 「お前にはあの光が見えないのか?」 砂の海に落ちていく そのさなかに 私は光を見た。 光は 傷を負うた私を 哀しみごと抱きとめた。 まるで虚無からもぎ取るように。 その光が何なのかはすぐには分からなかった 虚空だけを見つめていたこの目に 光はあまりにまぶしかったから だから訴えた ここは虚無 哀しいと 苦しいと もはや望みは届かないと 吐き出せば 動き出す気配がした それは象られてゆく光 かたち 色 それが在ることそのものが ひたすらにあたたかかった お前の声なら、おれ達に聞こえてる 「見ろ、光があった。」 愛する砂の大地におりたら 私はまた私に戻るから 傷はすべてこの身に抱いて もう一度走ってみせるから それまではどうか いとしい腕に あたたかい腕に抱かれて 泣くことをゆるしてください この身体が空にある限り どうか もう 少しだけ
噺 |