笑って

-傷と抱擁-



笑って

笑って 

笑って 


もっともっともっと







泣くことが許されなかった私
笑うことさえ知らなかったあんた

ちょっと似てるかもしれないね


私はこいつらと一緒に 泣いて笑うって決めたんだ
だから ねえ
チョッパー、

いっしょに行こう

いっしょに笑おう

これまで笑えなかった分も全部

私がいっしょにいてあげるから
みんなが幸せにしてくれるから





お前はいつも片隅で 笑ってるみんなを見てる
すっごく楽しそうに 笑ってるみんなを見てる

おれががんばってるときも
いつだって笑っておれを見てくれる

えらいなって がんばったなって 

ありがとなって


なあ、サンジ
おれは楽しいとき すごくうれしいんだ

いっつも優しいお前が 本当にうれしそうに笑うから

おれ なんでもするよ
手伝いもケンカも 何だって

だから笑ってよ
みんな見て笑う 誰より優しいお前のために






この船に乗って初めて 人はどこまでも笑ってられると知った
あいつらと笑って初めて 世界はこんなにも楽しいと知った

何でだろうな

苦しいことはたくさんあったのに
いっしょにいる
それだけで
こんなにもおれは笑ってられる


ウソップ、
おれは時々
お前が天才かも知れねェと思う

誰が笑ってるか ちゃんと見てるから
おれが笑ってるか いつも見てるから
おれが笑ってたら ちゃんと笑うから

上等だ
一緒に笑ってようぜ
おれの肩はいつでもお前においてある

だから笑ってろ
おれの隣で






だいたいお前は努力が足りないんだ
むすっとして ぼーっとして 気がついたら寝てる

だからあんまり伝わらない
あいつらといるの
楽しくて仕方ないことを


ゾロ、お前は
きっと独りで強くなる
それを止めたいわけじゃないんだ

けれど だから
一緒にいるときは 笑っていたいんだ

お前の中に おれがいるってわかるように

ほら笑えよ  おれたちがいるんだぜ
おれがいるんだぜ





おかしいよな
おれは独りで歩いてたんだ
夢のために 誓いのために おれのために
人により頼むことじゃねェから
独りで強くなるつもりだったんだ

おかしいな
おれはいま独りになれない
お前が笑ってやがるから
その無敵の笑顔で おれを呼んでるから

まいったな
けどな ルフィ、
おれたちのキャプテン

お前は笑っててくれ

おれを引き摺り込んだ その顔で

そろそろ気付いてきたんだ
お前がおれに笑い始めてから

独りのときよりずっと 強くなってることを







楽しいか?

楽しいよな。

楽しいだろう?

事情なんてどうだっていい
こんなにも楽しい旅で
こんなにも楽しい仲間


だからお前は笑ってろ おれは強いんだ
ナミ、お前が
安心して笑えるくらいには 

おれは強いんだ







みんな、

私はいま初めて
生まれたような気がする
ただの小さな命として

どうかもうしばらく
いっしょに笑っていて

やっと生まれた このやけに大きな妹と





みんなより
十ほど歳の離れたおとな


何でだろうな
無口な妹に見える

手がかからなくて こっちが心配になるような妹だ


兄ちゃん姉ちゃんは 
このとおり
強くて元気なアホばっかりだ

だから笑おうぜ

おれたちの夢の先
お前の夢の先までずっと







笑って

笑って

もっともっと


ずっと








それでも笑わないのなら おれたちが笑わせてやるよ