10.運命の車(幸せと不幸が交互に廻る運命の輪)・・・運命・変化の時



この旅が長かったか短かったかはよくわかりません
少なくともあの遠く離れた海で生まれた頃
何度か巡った旅よりは長かったのだろうとだけ思います


私は幸福だったか不幸だったか実のところよくわかりません
少なくともたくさん傷はついたでしょうひょっとしたら他の船より少し多めに
それを正しい腕で癒してくれる人がいなかったと言う点では確かに不幸だったかと思います


ではどうして不幸だと言い切れないのかもよくわかりません
少なくとも私は何度癒えない傷を受けても 拙くもそれを治そうと走り回る人を
島が見えたと嬉しそうに私に語りかける人たちを悪からぬと見ていたのは確かです


この旅が終わる今胸にあるのは悲しみなのか私にはわかりません
少なくともここで棄てられ道を別つことよりも昨夜の激しい爆破の波の方がずっと悲しく
大切な人たちをみんなここまで運んだということ
私の声があの霧の夜に確かに届いたということに
充分すぎるほどの喜びがあることは確かです



彼らの運命はどのように回るのか私には何もわかりません
少なくともこれまで私が守ったあの人たち 私を守ろうとしたあの人たちを
夢へ導く船がありますようにとこの朽ちかけた身をかけて願います





大丈夫、黒い旗はずっとこの胸に掲げているよ