広場が一望できるテラスが好きだった。
みんながここから見えるのは大抵王としてパパが話すときだから
大っぴらにがさがさしたりは出来なかったけれど
できるだけ手前、みんなが見えるところに立って
こちらからみんなを見つけてはそっと手を振ったり ウィンクしたりした。
｢ビビ、よくおれが見えたなぁ｣
｢みんななら絶対見つけられるわ｣
今も私はこのテラスが好きだ。
何にも遮られずどこまでも臨むことが出来るここに立っているときは
やっぱり女王として話すべき時だからきょろきょろなんてしないけれど
できるだけ遠く遠く、青い空を見つめる。
砂漠の向こうにオアシスの村
港の向こうに青い海
海の向こうに揺れる船
どこにいようと、みんなのことは絶対見つけられる。
いつも私は大きく手を振っている。