いろんなことがいっぺんに起こった日だった。
恐い顔の海軍大佐のズボンにアイスが消えた。
すぐ後にお兄ちゃんがひとり処刑台にのぼっていてざわざわと人が集まった。
そこに東じゃ有名な海賊が乗り込んで絞首台を取りつけた。
はじめられた処刑ごっこに、広場はサーカスのような大騒ぎ。
雷が落ちた。
嵐が来た。
時は流れ、日々大海賊時代は秩序に呑み込まれていく。
いろんなことがいっぺんに起こったあの日、
それは恐らく何かの始まりだったのだ。
今日に続く何かが始まったのだ、きっと。
「ねぇ、君」
今日もこの町の広場はあの日のようにいろんな人がひしめき合っている。
動き回る人の波の中、時が止まったかのように立ち尽くす影に声をかけた。
「処刑台を見てるの?」
赤いシャツの背中が振り返る。