応接室に戻ってきて
始めにみたものは
大きな鳶色の瞳だった。

「…だれ?」

こちらこそ聞きたい。…いやどうみてもディーノなんだけど。
とはいえほんの10分程度の間に何があったのだろう。
…なんとなくアイツのせいじゃないか、とは思う。

金髪がきらきらと光る子は、普段よりずっと顔付きが幼くなっていて、体も小さかった。
そのくせに服は大きいままでぶかぶかずり落ちている。
ソファの前に座り込んだ姿はかわいかった。
ディーノの子ども時代なんだから当たり前といえば当たり前だけどかわいかった。


「ここ僕の部屋なんだ。貴方こそ、誰?」

とりあえずどんな反応をするのだろうか、と聞いてみる。
何故だか日本語を話していたのできっと通じるはず、だ。


「俺はディーノ。よろしくな!」

そういった彼は今と同じ笑顔を向ける。
ずっと幼くても、雰囲気は変わらない。紛れもないディーノの笑顔だ。

「僕は雲雀恭弥。」
「きょーや?」
「うん。でここは日本の学校。」
「へぇーでもなんで俺ここにいんの?」
「さぁね。」

ディーノは何かを思い出そうとうーんと考えているが、わからないらしい。
ならば自分にもわかるはずはなく…

「ディーノ。記憶も遡ってるの?僕らは結構深い仲なんだよ?」
「え!そーなのか?」
「うん。まぁゆっくりしていきなよ。」

じきにもどるはずだし…戻らなかったら心当たりに問い詰めるまでだ。

とりあえずソファに座らせて、話す。
着替えさせようかと思ったけれど、そうすると戻ったとき大変なのでやめておいた。

ディーノは日本の学校や、風紀の仕事など熱心に聞いて、
自分のファミリーや学校、赤ん坊や修業について話す。
そういった話を聞くのは珍しかったので、僕は面白く思いながら聞いた。
向こうにとっては初対面なのに全く気にする様子はなく、
そういう人懐っこいのも変わらないんだなと思う。


「あ、背比べしよーぜ!」
突然。
一体どうしたのか。

「多分同じくらいだろ?だから比べたいんだ!」
いーだろ?と覗き込まれたら断れるわけもない。断る理由も特にない。

二人立ち上がって、二人しかいないので向かい合う。
そしてディーノは近づき一生懸命比べていた。

「ま、けた…。」
結果はといえば、僕の方がわずかに高くて。
ディーノは、「スクアーロ高くて勝てねーから、誰かに勝ちたかったのにー」なんて言っている。
相変わらず距離は近い。

思わず、かわいくて
ぎゅっと抱きしめてしまった。

「きょ…や?」
「少しでいいから静かにしてて。」
小さい体。

すっぽりと包めてしまう。背はあまり変わらないし僕もまぁ細い方にも関わらず、だ。

(でもやっぱりディーノ)
(匂いも感触も笑顔も)


わずかな沈黙の後解放して、少し背伸びして
ディーノの額に口付けた。
相手はこちらをみてから額に触れて
にこり笑った。


(嫌がられなくてよかった。)

習慣が違うとはいえ、安堵する。

そして目を閉じて。
ゆっくり開いたら
始めに写るもの
鳶色の瞳


「あれ?俺…どうしてたっけ?」

けれどいつもの彼。
いつもの金色。
自分より背が高い。


「貴方さっきまで、小さくなってたよ。」
「…は?」

確かに突然そういわれても意味不明だけれど

「僕もよくわからない。でも貴方若返ってた。」

心辺りは?

「あー…そういや骸がくれた飴舐めた。」

絶対それだ。

よく何か手に入れては持ってきて試すこの不審人物。

「骸からものもらうなって言ったでしょ?」

「けどさー」

「ダメなものはダメ。」

ディーノはう、と黙り込む。

まぁ、昔のディーノはかわいかったから
見れたことに感謝しなくはないけど
でもやっぱり

(あやしいもの渡すのは許せないな)

今度会ったらあの不審果物は咬み殺さないと。

ひっそりと、そう決意した。














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そらえださんにお誕生日祝いとして捧げた物です。

リクエストの雲雀×子ディーノ。なのに始め、体だけ小さくなるのをかいて、
これ雲雀×子ディーノじゃないよ!と、書き直し;
さりげなくスクアーロや骸さんが絡んでるのとか
ぶかぶかの格好は、私の趣味です(ぉぃ

そして続きっぽい甘々漫画も実はあります(笑)Pict Menuよりどうぞ