たとえそれが狂ったものであっても
この心には、幸せなのだ
縛り付けられようときっと、きっと
愛は消えない


「だって、覇王は俺をみてくれるから」

静かに口にして微笑するのは、紛れもなく愛しい十代で、
けれどその笑みは初めて目にするものだった。
十代の言葉はつまるところ、俺や他の奴は十代をみてはいないという意味で、
もちろん俺は反論したが首を横に振られるだけだった。


「ちがう、俺は皆が思ってるような奴じゃないんだ」

なんだよ、どう思ってるっていうんだ?
お前はお前が卑下するほど悪い人間じゃないし
お前は俺たちにいつも見せようとしないで
背負ってばかりのくせに


だけど確かにわかろうとしていなかったのかもしれない。
此奴は強いといつの間にか思って
弱さを認めようとしていなかった節は、あったかもしれない。

だからって、でも、こんなのはあんまりだ。

白の時代(自分は覚えていないが)はともかく、普段神なぞ信用していないが、
これが裁きだというのなら、重すぎはしないか。

もう昔のように此奴は笑わない?あのデュエルバカは何処へ行ったんだ。
こんな十代は知らない。知らないんだ。これは決めつけでも何でもなく、
受け入れるとか入れないとかそういう話ではなくて、
ただこの十代は確実に覇王に飲まれて既に十代じゃない。壊れてる。

俺は此奴が好きで、とうとう伝えることは叶わなかったわけだが、
嗚呼もし此奴を戻せるのなら俺は伝えよう、
そして今度こそ此奴をしっかりと見据えて、弱さも知ろうではないか。


「十代」
「ん?」

「なら最後にひとつだけ」

遠いデュエルの
終わりにしていた象徴を
笑顔で見せてほしい
別れへの餞として

「万丈目」

またな、と言ったその姿その笑顔
壊れているとは思えないほど
自分の知っている変わらない姿で

「これは覇王には、しないんだぜ」

はにかんだ此奴に滲むのはしあわせ。
どんな形で周りからどうみられても

わかりにくいだけで確かに此奴は


「覚えといてやろう」

だからこれは
俺だけの胸にしまって














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覇十←万でありながら覇王がでませんすいません
最後に十代がしたのは、わかりにくいですがガッチャです


『楽しい日々だったぜ、ありがとな!』

執筆 07/10/11 UP 07/10/11