思い返せば、見つめ直せば
自分が不完全で未完成でとても至らない人間だと気付く。


「いつまで、逃げる、気だ?俺たちから」

その言葉が、自分を崖っぷちに追いやった。
必死に虚勢を張ったところで、それは無意味に等しい。
嘘で強がりな己だと、相手はきっと見切っている。

「逃げてなんか、ねーよ」

多分気持ちは、この複雑さは
難しくて理解してはもらえないだろう。
なんせ持っている本人にも、何が苦しくて何を避けたいのかすらわからない。

ただ昔も今も、この目の前の漆黒(はじめは青だったか)を
嫌ってなどいなくて、好きで、愛しくて、だから。


「…休息が必要なんだろうともわかってはいる、でも」
「距離感が掴めないんだ。踏み込みすぎたら昔よりきっと傷つける」

いつも強がる彼の切なげな表情をみて、今できる限りの優しい声音で呟いた。

成長したのか(俺のずっと、先へ)、と洩らすのには、些か疑問を覚える。

果たして本当に成長したのだろうか。単に弱くなっただけではないだろうか。
何か理由にかこつけて、踏み出せないのを正当化する。
"今までとは違う"などと距離をとるのも、傷つくのを恐れているからだ。

確かに自分は変わった。
これは劣化かもしれないけれど、変化に違いはない。
さてこの姿を皆に示したとき、受け入れてもらえるのか?答えは未知数だ。
またそう遠くない過去のように、否定されるかもしれない。それが怖い。

これはもはや進化どころか退化ではないのだろうか。
それほどまでに自らが弱いなんて、ずっと知らなかった。
知らなかったし、自分の暗い部分は全て無意識に封印していた。

闇が浮き彫りになって初めて気付く。
流石に幼さ故の勝手な行為を"度胸があった"などと称しはしないが、臆病になったのは事実だ。

無くしたくなくて手にしない。
傷つきたくなくて距離を置く。

あぁ、それでは駄目だということもわかっているのに。
強くなくては守れないと、知ったのに。


「十代」
「な、に…?」
「俺は、お前が望むなら、俺たちから離れたっていいと思ってる。ただ、俺が…」

寂し、いだけで。



それは今の自分にはどうにも反則だ、と思った。















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色んな事を知って変わった十代(自分自身すらまだよく掴めず戸惑ってる最中)と
変わった十代が、自分よりかなり先を歩いている気がして、
寂しい、でも十代を、ゆっくり受け入れたいと思ってる万丈目。
二十代として帰ってきて少ししてから、のイメージ(絶讃引きこもり中←)

『そんな風に気持ちを覗いてしまったら きっと俺は、お前を縛って』

執筆 08/01/25 UP 08/02/08