それは僅かな時間だったけれど この上ない幸せ 「亮!」 吹雪の声がした。 遠い声だ。 名を呼ばれることが嬉しかった。 吹雪の声で 嬉しそうに呼ばれることが いつだって、どこにいたって 忘れることのない愛しい声 あぁもっと呼んでくれないか この身朽ちても 救われそうな気がするから その声で目を覚ませば 「……ふ、ぶき」 微睡みながら、口にする。 うっすら目を開ければ、嬉しそうに笑んで、 そうだこんな風に、いつもしていてほしい。吹雪には幸せで。 悲しむ顔は似合わないから。 「亮」 おはよう、 吹雪はそういって、もう一度笑んだ。 頬には涙の痕が 見えた ---- 『いつだって君であったなら、今よりきっと穏やかな気持ちで』 執筆 07/12/22 UP 08/01/06