「ラビー!」

・・・呼んでも、だれも答えなくて。



「あの、ラビ知りませんか!?」
「・・・しらねぇなぁー…」
「そうですか…」

いろんな人に聞いたのに、誰もしらなくて。


「どこいっちゃったんでしょう…」

久しぶりに帰ってくると言ったから、待っていたのに。
すごく楽しみにして、待ち遠しくて。

・・・なのに、いない。

門番に聞いたら、帰ったのは見たらしいのに

いない。


「こんなんじゃ言えなくなっちゃうじゃないですか…」

すでに午後11時30分


「生まれてきてくれて、ありがとう」

今日のうちに、いいたくて。


「誕生日は、二人で会いましょうって言ったのに…」
どうして、いなくなるんですか?




制限時間は、30分。

さがして、探して、探して。


残り、10分。



…走っていたら、見つけた。

特徴ある赤い髪。


「ラビ!!」

「んぁ?アレンかぁー」

「アレンかじゃないですよっ!忘れたんですか!?」

「何をさ?」

あくまでとぼけて、答えてる。


「今日は会いましょうって、言ったじゃないですか!」



「…そう、だったっけ」
「・・・そうですよ」

本当に、忘れてたんですか?


「・・・」

少し沈黙が流れる。

が…アレンが動いたことによって、すぐそれは破れた。


「ちょっ…!こんなトコでいきなり何するさ!?」


「何って?」
「…」

言えるわけがないのに、聞く。
これは頂けないと思うけれど、お構いなし。


今いるのは、教団の中の、良く人が通るところ…
の、少し脇に入った場所で。

人が通って、ちょっとみれば分かってしまう。

なのに、キスをするものだから、ラビは抗議したのだけれど。


「約束を…忘れるから悪いんです。・・・お仕置きですよ」

少し笑みを浮かべながら、もう一度。

「ひどいさ…」

そういった、ラビの顔はすごく切ない感じで

「そっちのほうがひどいでしょう?」

でも、譲らない。


「だって。しょうがないさ」

「しょうがなくないですよ。
…どれだけ僕が楽しみに待ってたのかわかります?」

「・・・ごめん」

謝ったけど。


「まだ、足りないです」


数度繰り返して。
そのうち何度か人が通ったけど、容赦せずに。



「ごめん…」

黙って聞く。

「忘れてたなんて、嘘さ。」

それは静かに、小さな声で呟かれた。


「知ってました。」

「え…」

「だって、ラビは。忘れたりしませんから。約束。
でも、理由を言ってくれないじゃないですか。こうでもしなきゃ。」


「いじめてすみません。ちゃんと教えて下さい。…さけてた理由」

ラビは、気付かれていたことに驚きながら話し始める。


「わかったさ…言う。」
「どうして…ですか」

「なんか、不安になったんさ。・・・急に会うのが怖くなった。
なんでか分からないけど…だから避けてたさ…」

「そうですか」


深くは聞かずに、納得する。

ふと、気付けばもう、誕生日はとっくに過ぎていて。


「・・・間に合いませんでしたね」

「・・・ごめん…」

「もう、良いですよ。でも言わせて下さいね?」


―生まれてきてくれて、ありがとう。



「へへっ…なんか照れるさ…
でも、なんでありがとう?オメデトウじゃないさ?」

ラビはほのかに赤くて、そして不思議そうな顔をした。


「誕生日って、本当は感謝する日だと思うんですよ。
・・・生まれてきてくれなかったら、会えなかったわけですし。」

「・・・そだなー…俺も感謝しなきゃ。いろんな人に。」

「そうですね。…後少し、一緒にいてもいいですか。夜中ですけど。」

「アレンがいたいと思うだけ、いればいいさ。」

「でもラビ疲れてるでしょう。」

「いいさ。」

「それじゃあ、そうさせてもらいます。」


と、いっても、そんな事をいえば、いつまでもつき合わせてしまうのは目に見えていて。

だから、早めに帰るのだけれど。

それなりに心配してるんですよ。と、心の中で呟いてみる。


言い様のない不安はきっと、まだ拭えないのだろうけど

きっといつか消してみせますから



今はただ、貴方が生まれてきてくれた事に

感謝します―…









あとがき

アレン視点なんだか違うんだか。そして中途な感じ満満満(ラビ風にすな

去年夜一さんが(もうすぐ)お誕生日というときプレゼントしたもの。かなり早く←ぇ
アレンは黒く見えますかね…?みえてたら幸いです。

誕生日は感謝する日というのはどこかでみまして
共感したんで私もそういう考えで文をかいてみました。


執筆 05/09/23  23:35  UP 06/10/06