痛めで微エロなのでご注意。スクは誰かと関係持ってます。
このままコイツの優しさに溺れてしまえば、きっと俺は楽になれるのだろう。 後から余計苦しい位置に立たされるかもしれないが、 少なくとも今は、怖いくらいに優しいぬるま湯のような温もりに浸れる。 気を抜いてしまえばきっと、流されるのは必至。 それはへなちょこなくせして案外強引な、それでいて強すぎない押しのせい。 そんなコイツに流されたいと思う気持ちが僅かながらに自分にはあるし。 「スクアーロ…」 艶っぽく呟いて上から俺を見下ろして、 馬乗りになったままで乗られたままでお互い動かないで 跳ね馬と呼ばれているコイツの瞳には水滴。 下を向いていたものだから耐えきれずにぽたりぽたりと 落ちて 「う゛お゛ぉい、何泣いてやがんだぁ。」 むしろ今泣きたいのはこちらだろうと思う。 状況からすれば、男の旧友に犯される危機に直面している自分のほうが悲惨だ。 「だって、スクアーロ…が」 その後はどう言葉が続くのか。 泣くのは予想に反してあんまり抵抗しなかったから? (普通なら殺していてもおかしくない) それとも久しぶりに会った俺があまりに哀れで? その二つとも、そしてほかの色んなものをひっくるめてなのかもしれない。 再会したのが数日前。 服からわずかに見えた痕をコイツは目敏く見つけた。 首筋の赤い痕。 情事の痕。 それだけならなんら問題はないが (ガキじゃないんだしそういった行為もする。見ても気をつけろくらいで終わるものだ。) 同じように並ぶ大きな痣をみた時 コイツは俺の上着を引き剥がし服を捲くり上げた。 始めは疑惑だけだっただろうが、無数に残るものをみて確信に変わったらしい。 俺が…伽をさせられていること。 仮にそうじゃないにしても、殴られたりしているのだろう事実。 どちらにとったかはわからないが、会うたびにコイツは様子がおかしくて そして今日。 今現在に至る。 「なんで、こんな」 「理由なんて、ねぇぞぉ…」 ただ俺が弱かっただけ。ただ俺がついていくときめて、逃げなかっただけ。 「こんな風になるなら、もっと早くお前を…」 「襲ってたのに、ってかぁ? う゛お゛い、なめてんじゃねぇ。そう簡単に許すわけねぇだろうがぁ。」 「わかってる。そうじゃなくて」 連れ戻したのに。 きっとスクアーロが決めたことだから、拒否するだろう。 けどそれでも無理矢理に、してれば。 「今更、だぜぇ。」 「あぁ、そうだな。」 「俺はお前なんて嫌いだぁ。」 「俺はお前のこと、昔からずっと好き。今もな。」 泣き笑いだった。 涙は流れたままの癖に無理矢理に笑ってた。 目尻に光る水滴は、なんだか綺麗で 光を反射する金髪も、綺麗で そんなことを思った自分が可笑しくて笑えそうで、でも笑えなかった。 この眩しいくらいの微笑みの前には、笑えなかった。 「好きだぜ、スクアーロ。」 改めてそう呟いて、ディーノは 軽く掠めるくらいの、刹那の触れ合いを 俺に あまりにも優しすぎて 今の俺には痛すぎる。 でも 突っ撥ねて 逃げることは 出来なかった。 …もっと早くに好きだと言われていたら、なんて思ったけれど そしたら俺はきっと拒絶していたのだろうから どちらにしろコイツを受け入れることはなくて 今のように後から気付くのだろう。 なんで、こうなったんだろうなぁ 後悔はしていないが ただ軽くそう思った。 そうして俺達は別々の道を行く。 ---- ディーノさんはスクをすごい大切にしてると思う。 素直じゃないけどスクはそれをわかってると思う。 それでも、違う人が好き。なんていう切ない思いが好きです。 捏造過去、またしたいなぁ… 執筆 06/10/22 UP 06/10/28