色々な騒動があり。 ようやくそれぞれがそれぞれの時代に帰ることができて。 そしてようやく、ようやく、獄寺とラルは再会していた。 色々な話。 沢山の、懐かしい出来事も悲しい出来事も洗いざらい。 今後は辛い思いで話すことのないように 語りつくす。時間が足りなくなるほど。 「なぁ、十年前のお前と会ったぜ。」 その色々な話が一段落ついたころ、思い出したようにラルはそう口にした。 「水浴びを目撃されてな」 10代目、と呼びに言った。 たいしたもんだな…、とふざけ口調で言う。 獄寺は返答に困り、少々恥ずかしいながら黙っていた。 「だが、そんな、幼い頃のお前も」 「俺は好きだぜ。好きだと思った。」 それは多分お前だからだな。と、さらり、そんなこと。 獄寺は嬉しくもあり、少しまた照れくさく けれど自分だってそうだ、と きっとどんなラルをみても、愛しく思えるだろうと、そう感じた。 「俺も、」 そうだと、言おうとして。 なんだかそれもそれで、嘘っぽく聞こえそうで、 言わなくても伝わりそうで、 ただ、微笑むだけに留める。 それが一番、良い気がした。 「…そうか、それは嬉しいな…」 案の定ラルは、わかったようで、微笑み返す。 最近やっと、笑顔を見せてくれるようになった。 昔からの苦難の沢山、仲間への思い、消えるわけではないけれど。 微笑みを見せられるように これからも、僅かでも笑えるようなそんな居場所になれるように 獄寺はもう一度、笑った。 ただ静かな時が過ぎていく、それだけでも 二人には、幸福だった。 沈黙も、苦ではなかった。 ---- 展開がまだわからないのにも関わらずかいてしまった再会話 『どれだけの選択肢を選んで、大切に思うようになったのだろう』 執筆 07/04/02 UP 07/04/03