あのとき、刹那だけ視界に映った涙は その時から忘れようとしても離れない残像となり どれだけ気に食わないといってみたところで どれだけあらがってみた、ところで… 惹かれていく 心が、引かれていく 何を胸に秘めて 何を押し隠し 鎧を纏った貴女は 「…おい」 「…なんだ?」 振り返った眼差しはあまりに強く。 振り返った眼差しは何かを拒んで。 決してあの湖で涙を流した彼女ではなく 踏み込めない自分、弱い自分、嫌気がさす。 もっともっと近づけたなら。 もっともっと近づけたなら。 抱える闇を知りたいと思った。 もうあんな涙を流させるようなことにはさせたくない。 俺がきっとさせない。 させないようにしてみせる。 強さも弱さも全てが貴女 長い沈黙に、また言う気になれば言え、 そう言った彼女は僅かに微笑をみせていた気がした。 もしかしたら美化しすぎた結果、愛しいが故の盲目なのかもしれないが。 それでも俺には充分で それでも俺にはこの上なく高揚できる出来事だ。 そしていつかこの強い眼光の隣を歩く夢を見る。 ---- ラルの涙を見て惚れてしまいました獄寺君。WJ18号をみて。 『目を奪われる。それは意志にも反して』 執筆 07/04/04 UP 07/04/04