「溜まってきた。」 突然すぎる、言葉だった。 「何言ってるの、貴方…。」 「だって、お互い忙しくて会えねーんだもん。 …会えたと思ったら、委員長の仕事が忙しいーで構ってくれねぇし!」 「…構って欲しいの?」 「うん。そりゃあそーだろ。」 恋人なんだし。 好きだから。 「ふぅん。貴方って結構子供っぽいんだね。…今更だけど。」 「なっ…恭弥にいわれたくねーよ!」 「…いいよ。」 「へ?」 「いいよ、構ってあげる。」 ただし、僕の好きな遊びでね? さぁ、何をしようか。
では、行ってきますね…と、 歩き出そうとすれば、捕まれた、腕。 犬によって、捕まれた腕。 …大丈夫ですよ。と、そう言った。 「だ、だって…骸さんっ!」 言葉にはならないけれど 襲う、不安に それだけしか言えず。 「…クフフ。犬は怖がりですね。」 その言葉はなんだか、優しかった。 「そんなこと」 ない、と言う前に、さえぎられる。 …大丈夫。僕はどこにも行きませんよ。 微笑みながら頭を撫でられた。 それはとても心地よい、行為 はい。 それだけ、いうのが精一杯。 嬉しさと切なさと、難しい感情でいっぱいで。 いつでも心は此処にある。だから大丈夫。 すこし怖いけど 大丈夫。 骸さんだから信じられる。
「ボス、ボス」 彼奴は何度だって、呼ぶ。馬鹿みたいに、同じように。 そして決して、それ以上言わない。 俺が何も答えなくても、ただ名前を呼ぶだけで。 「ボス。」 好きだとかそんな言葉は口にしない。 俺が時折答えれば、嬉しそうに、笑んで。 甘い言葉など。 口にすれば嘘のようで、この感情は表せるわけがなく。 ならばもう、そんなものは必要のないものだ。 ただお互いを呼べるならそれでいい。