「きょーや!何してるんだ?」
「委員の仕事だよ。…見てわからないの?」

まぁ、そうだろうとは思ったけれど。
せっかく暇を見つけて会いに来たのに
一緒にいれるだけでいいと思っても、でも

(やっぱり、つまらない。)
(もっと話したい、し。)

後ろから抱き付いてみても、目さえ合わさないままやめて、とそれだけ

(さみしい、んだ。)
(だってこんなに、好きで。)


またすぐ会えなくなるのに…
今のうちに話したかった。たくさん、色々。
なんでもいいんだ。
ただ声が聞きたくて

(ふれてたい、だけ)

掴んでないと不安なんてそんなつもりじゃないけど
やっぱりぬくもりは恋しい。

書類整理をし辛そうにしているのでそろそろ離れようか。
伝わる鼓動が心地よかった。

そして離れる瞬間に掴まれる腕。
強引なそれは俺の心情をきっと見透かしていた。




Side HIBARI


何してるんだ?と後ろから抱き付いてきたこの人は
僕がどれだけ、我慢して委員の仕事をしているかなんて、しらないのだろう。
突っ撥ねていないと、どうにかなってしまいそう。

貴方だけじゃないんだよ。

(僕だって、もっと)
(あなたに、触れたい。)

はっきり言って僕よりもディーノのほうが忙しい。
会えるのは彼がスケジュールを一生懸命調節して
そう、無理をしてくれているからで。

「恭弥ぁ…。」

そんな風に切ない声で呼ばないでよ。
伝わる鼓動は、規則正しく暖かい。


(こんな仕事やってられない。)
(わからないなら、)

教えてあげる。
どれだけ貴方を思ってるのか。

あぁ手を動かしていても、進まない仕事を
貴方は気付いてるの?
黙って離れようとするのは邪魔になると思ってだろう。

揺らがせたのは、貴方。
僕は我慢なんてしない主義なんだ。
だから強引に引っ張った。

やめてくれといったところで止めないんだから。
貴方の、せいだからね。

ぐらりと崩れた貴方には
振り返って口付けを。



















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お互い触れたくてたまらない、恋しくてたまらない。


『崩れるバランス、触れた温度、恋しい君』

執筆 07/02/04 UP 07/04/03