子供っぽいとはわかっているよ
けどどうしようもないんだから、仕方ないじゃない

貴方を離したくない
誰にも渡さない、なんて


おかしいとはわかっているよ
けどどうしようもないんだから、仕方ないじゃない

貴方に離されたくない
掴まえてて、なんて

それもこれもみんな

あんまりにも貴方が愛しいから







「ね、じっとしてて。」

「ん?何だ?」


いいから。と動こうとする彼を制止して、かつ固定して、顔をすっと近づけた。

目瞑ってだのなんだのと今まで散々騙してきたのに、
なぜそんなに信用して言われた通りにするのかわからない。
今回もまたじっとして…
ご丁寧に目まで瞑って、待ってるんじゃないの本当は、という様子で

もちろん僕は躊躇することなく口付けた。



「…!?ふっ…」

ビクッという反応は驚きからだろうけれど
唇をなぞって、僅かに開いた隙を逃さないで進入すれば、もう逃れられない。

貪るように欲して、唇を押しつける。
足りない、もっとと
子供のように
僕の物
僕だけの物




「はっ…な、に…そんな、焦ってんだ…?恭弥…」
「焦ってなんか、ないよ。」

息が荒い彼は特に怒るでもなく、それだけ聞いてきて
僕は否定の言葉を口にした。



焦ってなど…ない、はずだ。
だって現にもう、望んだものは手の中。逃げるでもない。

けれどなんだろうか、この想いは。
不安?そんなもの、僕は持ち合わせていない。


ただどれだけ求めても、駄目なだけ。
手にすればするほど止まらなくて、衝動が襲う。




自分は何がしたいのだろう。
独占したくてたまらないのは、始めからずっとだけど。
自分は何がほしいのだろう。
心?身体?全て?
全部を支配しても、これはどうにもならないような、気もする。





「俺は逃げたりなんてしないぜ?」

黙っていたら、そっと呟かれたのは、そんな言葉。


「わかってるよ。」
逃げないことなんて。

真っ直ぐに見つめてくるこの人にきっぱり返す。

立ってる僕と、座ってる彼。
自然見上げる視線になっていた。



ふい、と顔を逸らしたら
動く気配と、ふわりと香る彼の匂い。

消して不快ではなく、むしろ心地よい、香り。
少し甘くて。



その匂いにつられたのか…
つい、彼の方を向いてしまったなら

柔らかい感触が、唇に。





「恭弥…好き。」

初めて聞いた、そんな言葉。



「なんで、急にそんなこと言うの。」
「理由なんて、ねぇよ。そういえば言ってなかったなってな。」

なんだかずるいような気がした。
今まで散々僕が言うことを否定して、やっと受け入れてくれても

そんなことはなにも、言わなかったくせに。


今、

今言うなんて。





きっと欲しかったのは
全てで
それは違いないんだけれど

真っ直ぐなこの言葉。


支配するんじゃなくて
支配されるんでももちろんなくて

ただ、貴方と。



愛を紡ぐ。












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支配したい、独占したい、子供っぽいのが雲雀で
一見子供っぽいけども大人で、余裕あるのがディーノさん。な感じで。

甘め、なんだろうか…。

当初の予定と大きくはずれました。話の流れ的に…!
始めは本当に、冒頭文な感じの話にしようと思っていたのですが。

押されてるディーノさんが、好きです(笑)

執筆 06/11/14 UP 06/12/02