「ちょ…、人…!」 「来るわけないよ。鍵は閉めた。…無理矢理開けるなんてよっぽどの馬鹿。 それにほら、騒がしいから、貴方が抑えてればわかりはしない。」 外の喧騒は実はもう、夢中になってきている僕には遠いものでしかないのだけれど。 貴方の音色は快いもので、それが拒否を意味するものであろうと僕は気に入っている。 顔を近づけたときの彼の香気も好き。 強すぎないが微香というほどに弱くもない。 甘すぎないが柑橘系というわけでもない。 なんだか彼そのものを表すような、そんな香り。 色も綺麗な金が光彩を放っていて、きらきらと光る。 彼の全ては触れたくなって、一度触れると止まらなくて、ぬくもりを求めてしまう。 僕の視覚も聴覚も、嗅覚も触覚も、そして口付ければ味覚も、 五感すべてが貴方に犯され、夢中で貪ってもまだ足りない。 貴方だけに感じるこの欲望。 与えるのが愛だと言うのなら、これはまさしく恋なのだろうが、 そんなのは僕にとっては意味をなさないことだ。 どうだっていい、ただ欲しいだけ。 「ま、だ…昼…っ…」 「うるさいよ。黙ってくれない?」 昼だろうが朝だろうが 関係ないよ。 そう言った。 こんな、こちらはいらない求めていない、というような貴方の態度にはイライラする。 僕だけが求めてるなんて悔しい。 貴方を、僕がいなきゃ駄目だというようにしたい。 僕は貴方以外いらないし、貴方がいないと何をしてしまうかわからないくらいに依存してる。 「ディーノ。」 「ぅ、あっ…」 「貴方も、…」 僕に感覚も何もかも、身体だけじゃなくて心も、本能や理性ですら犯されてよ。 僕はとっくに全てを貴方に囚われているのだから。 もう外の喧騒なんて、遠くて聞こえなくて 脳裏に響くは貴方の玉音。 鼻孔を探るは貴方の香気。 視界に宿るは貴方の姿態。 僕には、もう貴方しか見えない。 ---- ディーノさん大好きな雲雀様。 『これはただの必死な強がり。俺だって本当は、お前にとっくに囚われてる。』 執筆 06/11/17 UP 07/01/06