十年後スクと何かのはずみで十年後に行ってしまった雲雀さん。 時間枠とか原作とか無視な話です←ぁ それでも大丈夫!ならばどうぞ
何の悪戯なのかは知らないが、目の前にいるのは10年後の貴方。 はたして僕が10年後に来てしまったのか、相手が10年前に来たのか。 わからないけれど、回りの景色があまりにも変わらないので 僕は動いてないのかもしれない。 けれどそんな予想は外れ、ふとみた壁には西暦が10年先のカレンダー。 なんだ、10年後の僕になにか起こったのか。 いたって平静に考える僕と、目を丸くする貴方が、対照的で少し笑えた。 何だか滑稽な風景。もっとも顔には、そんなもの噫も出さなかったけれど。 「髪、切ったんだ」 若干短くなっている後ろ髪、理由は聞かないでおこう。 聞いて未来に縛られるなんてまっぴらごめんだった。 前髪は伸びて分けられていて、実をいえば 伸びたというべきか短くなったというべきか、少し迷った自分がいる。 しかしながら短くなった後ろの方が僕にとっては重要で、 そちらに重点を置いてきいたなら、「あぁ、ばっさりなぁ」と返ってきた。 それは一体いつの話で、どの程度のバッサリなのかは見当もつかなかったけれど、 とりあえず僕は嬉しくて、もったいない、なんてらしくないようなことも言ってみる。 けれど、結局緩みそうになる頬はどうにもならず、きっと彼はそれに気付いただろう。 「素直になれよぉ」 「何言って」 「笑いてぇなら笑うべきだぜぇ」 な、と微笑む顔は、どうやら僕の知っている彼じゃないらしい。 今よりまた丸くなったというか大きくなったというか、 色々吹っ切ったらしいスクアーロには、過去に縛られていた面影はなかった。 「きれい」 「は?」 「貴方、変わったんだね。」 「そうかもなぁ…でも」 あの頃からずっと、恭弥とは一緒だぁ あんまり嬉しそうに言うから、あんまり上手く名前を呼ぶから、 一瞬僕は固まり、それから笑わずにはいられなかった。 思わずつられたのかもしれない。 しかし確かに僕には、変わらずに共にあることが、 この上ないと思ったし、感動したんだ。 あぁ10年後のこの時も、貴方といるのか、って。 「なぁ恭弥は、こっち来るまで何してたんだぁ?」 「僕は…貴方と、いた。」 「そうかぁ!」 10年前のこの時も、恭弥といたんだなぁ スクアーロは嬉しそうで思いっきり笑って、僕と逆だけど似たようなことを思っていて。 それは大好きな彼だった。紛れもなく彼だった。 きっと沢山変わったのだろう。けれど芯は変わらないまま、素敵なままだ。 スクアーロも10年後の僕を見て、そんな風に思ってくれるだろうか。 思ってくれたなら、幸せだな、と思った。 「ね、不確かだって笑うかもしれないけど」 10年後はもちろん、20年後も30年後も僕は貴方を愛してるよ 呟きははたして届いたのか。 気付けばカレンダーはいつも通り、長い髪の彼がいて。 最後に俺も、と聞こえたのはもしかしたら、気のせいだったのかもしれない。 けれどいつもの僕をみて、見知った彼は言ったんだ。 「10年後も20年後も、キョウヤを愛してるぜぇ」 ---- 10年後スクアーロにはしゃぎながらついうってしまいましたなヒバスクです。 ずっと一緒、は無理だと知っている二人だけれど、 それでも願って信じたがってる二人。 結構似通った思考してるんじゃないかな、とか。 十年後も同じ時に二人でいる、いられるというのは すごく幸せだと思います。 『その声は絶対に聞き間違えじゃなかった』 執筆 07/08/26 UP 07/09/04