「痛い、の?」 俺の左腕、義手の間。そこを眺めながら言う。 鋭い眼光は一点を射抜いていて、ペロリと艶めかしく、俺の手首を舐めた。 内側の皮膚の薄い、言うなれば弱い部分への刺激に、 俺はビクリ、と声は出さずとも反応、してしまう。 ヒバリは浅く笑んで、今度は俺を見据えて、その瞳の内は読めず、 しかし逆にこちらの思いは全て見抜かれているような。 ―自分は昔からこんな奴に弱いらしい。どうも、惹かれるみたいだ。 なんて…冷静な自己分析などは今現在無意味に等しかった。 こんなことを考えたところでなにか変わるわけでもないし、 なにかを変えようとしているわけでもないのだから。ただ無駄な思考。 彼はといえば俺の腕を持ち、拘束したまま首筋に甘噛みしてきた。 「っ…。腕は、痛くねぇぞぉ…もう。」 「ふぅん。」 自分で聞いたのに、あまり興味は無さそうだ。 ヒバリはもう一度同じ所を先ほどより強く噛む。 「ってぇ…!う゛お゛ぉい!なに、が」 てめぇはしたいのか、と。けれどヒバリは答えずに、 「僕じゃない人のために切った腕が憎い。」 なんてそんな、嫉妬心。 「俺はだなぁ…」 「知ってるよ、切った理由なんて。」 「なら、」 「でも、憎いの。」 僕が独占力強いことなんて知ってるでしょう? むっとした顔は、拗ねている証だ。 しかし鬱陶しいなどとは頭に露ほどもなく、こんなことも嬉しい、なんて。 俺は相当イカレてる。 (仕方ねぇ、奴だなぁ…) 大人しく、逃げずにキスを受ければ、微笑が。 それはなんとも流麗で。俺は魅了されて。 きっとこれは此奴の計算のうち、なんだろうけど、それでも 溺れていたい。 「テメェ、が。悪い…からなぁ」 「なんのこと?」 「っ…なんでもねぇ。」 一体ヒバリは大人びているのか とてつもなく子供なのか わからないままに ---- 色っぽい雰囲気を目指したんです。個人的にはヒバスク寄りなんです。 でもやはり私の書く雲雀さんの精神年齢は大人びているようで幼いので、 受けっぽいようにも感じられるので結局はヒバスクヒバになる、と。 『どうしようもない独占力も、身勝手な行動も全て』 執筆 07/06/09 UP 07/06/17