「ナルトくん」

よく聞くアイツの言葉。

俺はそれを聞くのが嫌いだ。
無性にイライラするし。


お願いだからさ。
俺といる時だけでも、その言葉、いうなよな

マジで…


頼むから。
なぁ…ヒナタ…?






「あの…」
「ん?なんだ?」
「ううん、なんでもない。」

言いたいことがあるなら早く言えよ。俺そーいうのすげぇ気になる。
でもそれをいっちまうと、ビクッとして俯くことわかってる。

今までも何度もそういうことあったから。
俺も少しは気を使えるようになったのかな…



「あ…」
「どうした?」

急に一点をみて立ち止まったヒナタに、不思議に思って俺は聞いた。


「ナルトくん…」


ナルト…か。
今日は聞きたくなかったのに。


何度聞いてるんだろ、この言葉

どうしてだろう。また、イラつく
いつもと同じ。



「あー!ヒナタとキバかー!」

「う、うん、こんにちは…」
「・・・・」

俺はあいさつもなしに黙ったまま。


「おいキバ!挨拶もねーなんて感じ悪いってばよ!」
「うるせぇ。」
お前のせいで俺は困ってるんだ。


突っかかってくるナルトにムカついて、俺はますます不機嫌。
やってらんねー。

俺、もうかえろーかな…なんて思ったけど
ヒナタをほって帰るのもどうなんだろ…

でもナルトといたいだろーしな
べつに、良いかな



「なぁ俺…」
「…俺ってばさぁーなんかお邪魔だったっぽいし帰るな? んじゃ、バイバイ」


俺が言おうとした言葉を邪魔して
何を思ったか、ナルトはかえっちまった。

お邪魔っていうのは、俺にとっては当たってる。
でもヒナタは…どうなんだろ。


「うん、バイバイ。キバくん、あの…」
「ナルト帰っちまって残念なんだろ?俺かえればよかったか?」

なんて、意地の悪い…。



ヒナタはなにも悪くない。純粋にナルトが好きなだけ。
話せることを素直に嬉しいと感じるだけ。


こんな事、言いたくない。
こんな態度とりたくない。


もっと優しくしたいって思ってるのに
口からでるのは、ヒナタを傷つけるような言葉ばかりで


今日の俺…いつもより数倍どうかしてる。



「ち、ちがうよ!」

何がちがうのか…俺はわからなかった。
いつもよりハッキリ言うヒナタにビックリはしたけど。

「私…ナルトくんが帰って…うれしいわけ…ないけど…
   キバくんに帰ってほしいなんて…思って、ないよ…」


そういうヒナタが、いつもよりも愛しく見えて
気付けば、体が動いてた。



「キバ…くん…?」
ヒナタは赤くなりながら、どうしたのかと俺を見てくる。




なぁ…ヒナタ…。

俺が今、お前を好きだって言ったら
お前は、どうするかな?

きっと困った顔をして、答えに困るんだろうな。


俺は、知ってる。
「ナルトくん」
その言葉に…どれくらいの思いが込められているか。


だけど。
もし、まだチャンスがあるのなら。
俺のことを嫌っていないのなら。



「もう少し…このままでいさせてくれ…な?」



俺の腕の中にいるヒナタは

驚いた顔をして

でも微笑んで

「うん」

そう答えた。











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TITLE byキバヒナ50のお題 配布元

ヒナちゃん&キバ好きです。 片思い系がね、いいのです。
お題見てたら、びびっと思いついたもの。

キバがひたすら切なく純粋に、ヒナタ大好きなのが、書きやすいし、好き。
そんなキバにヒナタもだんだんと惹かれていくんじゃないかな、みたいな。

キバヒナは、こんな文章が続くと思われます。