まって、待ってくれ。

置いていくなよ。

どこに行く気だ?

果てしない闇の中に

のまれ、呑まれ…


やめろ、やめてくれ

連れて行くな

大切なんだ

守るって、決めたんだ






微睡みの中で見たのは、君が振り返る姿







「キ…く……バ君……キバ君。」
「ひ、なた…?」

うなされていたらしい俺は、ヒナタの声で目が覚めた。…気がした。
実際は誰もいなくて、真っ暗な中に一人飛び起きただけ。

どうして、あんな夢。



闇に溶けゆく姿。
自分は動けなくて、手を伸ばしても届かない。

白い白い、本当にヒナタそのもののような着物をきて
ただ俺を一度振りむいて、

浅い微笑

軽く顰められた眉には
小さく動いた唇には

ごめんね、とそれだけ。





普段こんな夢、信じないのだけれど。

夢は夢と簡単に割り切ってしまえるはずなのに。


ヒナタのことだからか、気になってしまって。




たぶんきっと、今ヒナタが入院しているのも、関連しているのではないだろうか。
任務中に怪我をして、今、ヒナタは安静にしなければならない状態にある。




心配だったから。

きっと気にしすぎて、あんな夢を。



妙に怖かった。
最近ずっと。


守れなくて

手からすり抜けるようで…。






怖くて、辛くて、目の前のことから逃げて、目を背けて、
避けてしまっていたお見舞いに


今日夜が明けたら行ってみようかと、思った。












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夢ネタ二回目。内容はかぶってないけど…
キバヒナはとことんキバ目線がかきやすいです。独白ぽいのが。

執筆...06/07/24 UP...06/10/06