夕暮れ時
赤い赤い空と、オレンジに色づく町
ヒナタの頬が紅潮して見えたのは
太陽が色を塗ったからなのだろうか
それとも
意識してくれているのだろうか。


帰り道
帰り道

早足な俺に、(今日はなぜかせかせか歩いてしまう…)
小走りでついてくる彼女は息を少し荒げながら。
俺はいつのまにか赤丸との散歩(歩くときの)
と同じくらいのとてつもない速さで歩いていた。


「き、キバ君っ…!待って、早っ…」
ドサッ

後ろで響く鈍い音。
振り向けばこけて、服を少し汚してしまったヒナタ。
起きあがって座り込んでいる。(腕の土を掃って)


「…ほら」
「え?」
「危なっかしくてみてらんねー。掴めよ。」
「…あ、りがとう。キバ君。」
「…別に…。」

速く行き過ぎてごめんとも
大丈夫かと心配するのも
できずに
けどヒナタはお礼を言った。
不器用に手を差し出した俺に向かって。



「いくぞ」
「うん」
「もうこけるなよ」
「がんばる…よ」


気付けば淡く紫色。
手を繋いで、手をひいて
歩く道は
暗く染まりゆく町に似合わず
ふたりの体温が
心地よく


またもう一度だけでもいいから
こんな風に歩けたら良いと思った。

帰り道。





















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『貴方が手を引いてくれるから私は安心して進めます。』

執筆 07/02/28 UP 07/04/21