何度も繰り返した後にはなにがあるのだろう
先は見えないのに、続き続けるこの回路

また巡り続けるのか
また繰り返していくのか
また別れ
また出会い
また堕ちるのか


頭にあるものが多すぎる
得たものが多すぎる

なのに残るのは大抵、暗い禍々しいものばかりで

気 が 狂 い そ う だ。



全て壊してしまおう。
自らにこの忌々しい眼を授けた者共。

授けるは猛毒の杯より邪念と汚濁にまみれた苦しみ
藻掻けよ足掻け。変えられぬ運命に嘆けばいい

それが お前達に 与うる 罪の 重さと 罰。



ぽたりぽたり滴るのは鮮血
鮮血にも関わらず汚れた液体
黒い黒い薄汚れた
流れていた人間のヨゴレに比例するかの如く

我の躰に染みつく
思わず笑った。

「取るに足りない世の中だ。」



そして我を見つめる双眸に、目を向けて。
生き残っていた、らしい。この汚れた世界で
色んなものに汚されながら
それでもまだ、綺麗な綺麗な、嗚呼鮮やかに映る子等よ


「一緒に、来ますか?」

始めはただ、気まぐれだったのかも知れない。




「骸様。」

どうかなされましたか?と、問われ
なんでもありませんよ、と、返し。

普段表情は見て取れない、子だけれど
今は明らかに心配そうな表情を、千種はしていた。
ということは自分もそんな顔をさせるような姿だったということで
こんな様子でいたら犬がまた不安そうにするな、と慌てて繕った。


「…あの、出過ぎているとは思いますが。」

「はい?なんですか?」

「何かあったのでしたら…。言って下さると」

犬も、俺も…嬉しいんで。

なんて、ぼそりぼそり、小さな声。


そう始めはただ、目にとまっただけで
特別なものなどなにも、無かったのかも知れない。
けれど確かに自分は二人を誘い
二人は僕についてきた。


気まぐれで一緒に居るんじゃない。
僕達の中にあるのは虚無じゃない。

今、自身の中にあるのも…
禍々しい打ち消してしまいたい毒々しい汚濁だけじゃない。



「ありがとう、千種。…犬。」

今外から戻ってきた犬は、はてな顔で僕をみた。

「大好きですよ。二人とも」

けれど構わずに、言う。
正直な想い。偽りない想い。


「…俺も、骸さん、…と、柿ピー…大好きれすよ!」
「なんで一瞬ためらうの、犬…ひどいよ。」
「うっ…ご、ごめん、千種…」
「ううん、いいよ。…めんどい」
「あー!めんどい言うな!ダメメガネー!」
「その呼び方本当もうやめようよ。」

「…まぁまぁ、二人とも。」

一言諫めればぴたり二人は止まり
犬は笑って、僕に抱きついてくる。

「ほら、千種も来なさい。」
「…いいです。」
「クフフ。恥ずかしがり屋なんですから」
「れすよねー!柿ピーもっと勇気出すびょん!」
「ちょっとそれずれてない…?」


3人で居る時間が
一番、心地よくて

二人と自分さえよければ
他なんてどうでもいいと思った。
そのくらい自分は
二人が、好きだった。

今も、好きで

この思いはきっと消えない。
どれだけ自分が、自分じゃない誰かになっても
この記憶だけは
二人が消えてしまっても、新しい誰かになっても
この記憶だけは


だから

巡る輪廻の先
できるならもう一度
貴方達と

















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Cosmos様の選択お題、「巡る輪廻の先」をお借りしました。
捏造出会い話と、どうにも今二人が大切な骸様。
3人がお互いに大切に思っているのがやっぱり好きです。恋愛感情あってもなくても。


『別れなんていらない、繰り返しなんていらない。
ただ僕は終わらせたい。僕等以外の全ての理を。』

執筆 07/03/20 UP 07/03/27