限りなく、というほどではないものの広い草原に、ラルとコロネロは立っていた。 二人とも土埃に汚れた姿だった。しかし傷は特にない。 それは二人が、戦うようなことをしていたわけではないことを表していて、 では何を、といえばお互い一人で修業をしていたのだった。 先程までは離れた場所にいたため気付かなかった二人だが、手を休めた今は近くにいて、 もしたとえ気付きたくなかったとしても気付いてしまっただろう。 もっとも二人そんなわけもなく、お互いあたたかな気持ちで、会えたことを嬉しく思っていた。 「ラル」 「コロネロ」 自らの武器を降ろし相手の名を。 見事に息があっていて、重なってしまう。 こういった何気ないタイミングが合うことはなんだか幸せだ、わかりあえているようで。 「誰かがいるな、とはわかっていたがお前だったんだな、驚いたぜ」 「こっちもだぜコラ!少し久しぶりか?」 「1、2ヶ月ほどぶりだ」 そう言ったきり、黙る。 小さい背丈のコロネロ。ペットが頭上を旋回していた。 比べるとラルはずいぶん大きくて、見た目からして9、10歳くらいだろうか。 体にそぐわない大きな武器を装備している。 「お前は少しの間に変わったな」 「コロネロは…変わってない。」 ラルはそう言って苦笑した。 泣きそうで泣けないような顔をして、笑う。 コロネロは静かに瞠目し僅かに合図、 するとペットがコロネロを、高いラルの視線まで引き上げた。 「……」 黙って目を合わせて後、くる衝撃は額に。 強いデコピンだった。ラルは僅かに顔を歪ませる。 避けられただろうに避けなかったのは何故だろうか。 それは二人だけがわかっているのか。 「お前は、」 口を開いて。 言いかけてやめる。 一呼吸おいてからコロネロはまた口を開いて真っ直ぐラルをみて言い切った。 「お前は俺達と、対等だぞコラ!」 「…、」 「だから、自分はなりそこないだとか、自分を下にするな、中途半端かもしれねぇけどな、」 そんなお前が好きだぜ、と それは深く響いて嬉しく、やはり後ろめたさや色々、一気に消えるわけはなくとも心が軽くなって 泣きそうで泣けない笑顔も、今度は嬉しくて幸せでだ。 その中に悲痛の色はない。 コロネロは笑った。 二人は共に笑った。 心から幸せだと表すかのように綺麗な笑顔だった。 「好きだ。」 それはどちらからだったか。 何度も何度も。 言い過ぎるなんてことはないくらい言葉が嬉しい。 何度伝えても何度言っても、足りなくて足りなくて 幸せなこの思いはどのようにして届けようか。 小さい手。 ふれあった場所からきっと ---- 風神翡翠さんより2万企画のリクエスト、コロラル甘。糖度が低いかも知れませんが… まさかコロラルリクエスト頂けるなんて思っていなかったもので とっても嬉しかったです。楽しく執筆いたしました! 『一人落ち行く砂時計、それでもあなたを愛してる』 執筆 07/04/20 UP 07/04/21