「骸さんに、傍にいさせてもらえて嬉しいれす!」

突然に唐突に突拍子もなく、犬はそんなことを言ってきた。




Lovesickness




「骸さんの傍にいれてうれしいんれす!」

黙って何も言わないでいた僕に再度犬は呟いて。

「…はぁ。」
突然過ぎて空返事。

そんな反応になんだか気を悪くしたらしく
(相変わらず単純で、読みやすい思考だ。)犬は少し膨れっ面をした。


「そんな顔しないで下さい。驚いただけです。
…直さないと殴りますよ。」
「へ!?それは嫌れす!」

すぐに普通の顔に戻す犬は、殴られるのか否かとビクビクしている。

「…そんなに殴られたいんですか?それになんでそんなこと急に?」

あんまり様子を伺うものだから少しカチンときた。
いやまぁ自分がよく殴っていたのが理由だとはわかっているけれど。


言いたくなったらけれす、なんとなく!なんて、それが答えだったけれど、
本当にそれだけらしくそこらへんどうなっているのかよくわからない。

かわいらしいとは思うが。



「へへっらって骸さんのこと大好きなんれすもん!」
がばっと効果音がつきそうなくらいに勢いよく、犬は抱き付いてきて。


「骸さんは、俺のこと嫌いれすか…?」

本当ころころ表情も気持ちもかわる子だ。
なんて改めて感じた。


「嫌いじゃないですよ。」
そういってやれば「良かったれす!」とものすごく笑顔。

「嫌いといったらどうするつもりだったんです?」

やっぱり落ち込むのだろうか。
そういう場合も考えてこういう質問はするべきだ。
…きっと犬は考えてなかっただろう。


「あ、そーいえば!…れも、骸さんはそんなこと言わないれす!
嫌いらったら、とっくに捨ててますよね!」

予想通り今気づいたという感じで、だけどあながち間違いではない言葉を返してきた。

何を根拠に。



「それに嫌われてても俺は好きなの変わらないれすから、関係ないれす!」

「それじゃ、質問の意味無いじゃないですか。」

抜けている。
何かがものすごく。

そういうところが愛らしい、といえば愛らしいのだけど、思わず僕は笑った。


「あー骸さんひどいれすよ!れも笑ってるの好きれす。」
「…そうなんですか?」
「はい!…笑ってないときも好きれすよ!ぜーんぶぜーんぶ骸さんは大好きれす!」

えへへっと笑って、ぎゅっと抱きしめる腕に力が篭った。
今度は僕も、軽く抱き締めかえしてやった。


「骸さん、好きれす。」
下から伺うように見るその姿は、まさに犬のような。

「何度いうつもりですか?」
「何度れも!」
「そうですか」
「そーなんれす!」


だって骸さんといると幸せでちょっと苦しくて、言わずにいられないんれすもん!
そう犬は続けて、またにこにこと笑う。


きっとこれは恋で
きっとこれは病に等しく


「犬、好きですよ。」

あんまりに愚かで、あんまりにかわいらしかったから
聞こえるか聞こえないかの声で呟いて、額にキスしてやった。


こんな想いに侵されるのも、悪くはない。







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今回の題名は、英語です。
イタリア語がいいなーと思ってたんですけど、語感的に英語。
うってる間に思ったのは、犬が大好き大好きいってるのが私は好きなんだなぁと…。
言い過ぎだろ、恥ずかしいよ!ってくらいに、まっすぐに。

きっと骸さんに指摘されたら初めて恥ずかしくなるんですよ(笑)
でもまた次の日になったら忘れて、大好きーと!
うるさいとかいいつつ、殴りつつ、そういう犬に骸さん救われてたらいいです。

なんて、CP語って見ましたが、貴方はどうですか(笑)
違和感なく、受け入れて貰えたなら幸いです;

執筆 06/10/08 UP 06/10/09