「骸さん!ほら、みてくらさい!」 意味深に後ろに回された腕を前にやる。 手袋をはめた手のひらには雪兎。 「雪兎ですか。」 「はい!」 「二人で作ったんですか?」 「いえ!これは俺が作ったやつで」 こっちが柿ピーのれす!なんていいながら千種を見やる。 千種は渋々、手のひらの雪兎をこちらに見せた。 「どちらもかわいいですね。」 笑いながら言えば、犬はまたにっこりと笑い、嬉しそうに。 「でも、てっきり僕は雪だるまでも作っているのかと思っていましたよ。」 または、二人で雪合戦。 「えっと、雪らるまって、溶けた時寂しいじゃないれすか。」 「それは雪兎も同じじゃないですか?」 わけがわからなくて、疑問符を浮かべた自分を見かねて、千種が答えた。 「骸様、犬は…。雪兎なら…冷蔵庫に入れられるから、そうしたらしいです。」 …はぁ。 いまいち、納得できないけれど。 「ほら、犬。骸様よくわかってないじゃないか…。」 「う、うっさいびょん!らって残してたかったんらもん…」 可愛らしい、素直な考え。単純に、残していたいという。 やっと、犬の思考を理解して、とても愛らしいと思った。 「…そんなことをしても、いつか溶けてしまいますよ?」 言葉は自然と、呆れたものではなく楽しそうな口調になって。 「わかってます。れも、普通よりは、溶けるの遅くなりますから!」 そういった犬を、撫でた。 なんだかこの雪は、自分たちのようにも、思える。 必死に消えてしまわないようにと、願うけれど 無情にも、溶けて消えてしまう、そんな、そんな。 けれど今は、その時じゃなく まだ、まだ絆は消えないから。 「犬、千種。」 同時にこちらに目線を向ける二人に 「いつまでも一緒にいましょう。」 そういった。 いつどうなるかなんて、わからないけれど。 壊すしか知らない、自分でも。 大切だという気持ちを、知ったから。 できるだけ、できるだけ 二人の、傍に。 笑顔の、なかに。 ---- 長くなったので分けました。文体も少しいつもと違う感じで…! ほの切です。ほんのり骸犬。あんまりCP濃くないな…! 3人でずっと幸せに、いて欲しいなぁという願望から。 難しいけれど、きっと…!と願ってます。 『いつか絆は揺るぎなく、消えないと確信できるまでに強くなれたら。』 執筆 06/12/30 UP 06/12/31