「どうしてお前は、」

未だにボンゴレにいる?未だに守護者でいる?
と、ラルは僕に問う。
それに対しただ微笑したまま、
「貴女がいるから、といったら?」などと、口にした。


「…戯言だ。」
「そうですかね?クフフ…ですが貴女のことは好きですよ。」

本当に本当に、この手でいっそ壊してしまいたい。
もうすぐ消える命だと言うのなら。
その儚い花を、停止した者達に手向けると言うのならいっそ
巡る巡る、廻り続ける僕が、手折って


「お前は、わからない…。」
「何がですか?」
「どうして俺に執着する?俺はお前の方など見ないし、信用していない。
何故そんなことを言い続けるのか、わからない。」

わからない、と言った彼女は僕を見てはいなかった。
顔を見たくなかった、目を見たくなかったのかもしれない。
ただ、どれだけの睦言を彼女に捧げても、
僕は空虚になるということだけが
顔を背けたラルの方を見つめる僕にはわかって。
本当に本当なのに、愛しいのに、何故こちらを向いてはくれないのか

そればかり、頭に、浮かぶ。

背けた顔は、彼女の心のようだ。


「この言葉を嘘だと言うのですね」

「…ああ。」

「何度言えばわかりますか?どうすればいいですか?
貴女を手にかけて一生僕の、ものに、したいくらいそんなくらい」

想っているのに。


ラルはぴくりとも動かなくて。
こちらを向くわけでもなくて。
黙って話すこともせずにいて。


「好きです。愛しています。僕を、見て下さいどうか。」

過去を見ないで
気付いて知って
どうか、



ふと窓を、ラルの視線を追ったなら、いつの間にか雨が降っていた。
窓についた水滴が1、2滴。どんよりと暗い空。
僕は始まった沈黙をどう破ろうかとそればかり考えていた。
ラルが破ってくれるとは思えなくて、ただそれでも、
どんな風に彼女を引き留めておこうかそればかりを。




















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マイナーのなかのマイナーな捏造骸ラル


『過去の彼女はもういない。あの頃の笑顔は消滅したままに』

執筆 07/04/21 UP 07/06/06