俺は何者なんだ。
俺は六道骸
なら目の前の子は?

俺は違う、俺は違う。
逃げたい。けれど逃げられない。
浸食する恐怖に俺は勝てない
罪を償えないのは全て操作されるから
自分は何なんだ
自分は何者だ


ただ目の前の子はいつも我に残酷な真実と残虐な嘘を混ぜ込んだ毒杯を捧ぐ


「ファミリーを惨殺したのは、紛れもなく貴方です。」


だから、今後、誰にだって、貴方は必要とされない。
誰にだって、必要とされる、わけがない。



「貴方は僕だけが必要とすればいいんですよ。」

ねぇ、ランチア

囁きはとてもとても甘く
耳元であまりにやさしく

甘美な毒が巡る全身
この身は既に骸と化している
死んだも同然、我は死んだ
だから間違ってはいない自らは骸


真実の名で呼ばれても何も感じられないのはこの子に呼ばれるからなのか。



「大好きですよ。ずっとずっと。」

貴方の腕は僕にだけ
貴方の全て僕にだけ



…俺は、何者なんだ。

俺は…『六道 骸』

ではこの目の前の子は?


嗚呼
結局俺はただ肆屍

なにもわからずに自身のみ消え行く

問いは深く闇底へ沈み

繰りかえし繰りかえし

脳内で嘆き続け停止を知らない



反響、突き刺す、心、言葉、

そして自分は


存在というものの脆さを知る。





















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『ただ色んな人に必要とされる貴方を許せないまま』

執筆 07/03/22 UP 07/04/21